岡本和真と松田宣浩 長打にまつわる珍しい記録とは?

2021年03月22日 08:30

野球

岡本和真と松田宣浩 長打にまつわる珍しい記録とは?
巨人・岡本和真(左)とソフトバンク・松田宣浩 Photo By スポニチ
 【宮入徹の記録の風景】ゼロが6つ並ぶ。巨人の岡本和真は15年にデビューしてから昨年まで6シーズン三塁打がない。長打の内訳は二塁打83本、本塁打96本。昨年までの通算打席は1820に達しており、2000打席が近い。日本のプロ野球で通算三塁打ゼロで引退した打者の最多打席は03~08年タイロン・ウッズ(横浜―中日)の3466打席。もっとも、岡本和がこのまま生涯ゼロで終わる可能性は低い。それでも、初三塁打まで多くの打席を要した打者の上位を出すと(1)デストラーデ(西武)2066(2)高井保弘(阪急)1995(3)カブレラ(西武)1709。岡本和は既にカブレラを上回っており、今季中にデストラーデを抜き最も遅い記録になるかもしれない。
 岡本和がこれまで記録した二塁打を見ると、二塁を過ぎて三塁に進もうとしたのは19年9月15日阪神戦(東京ドーム)の1度だけ。初回1死一、二塁の場面で岡本が右中間を破る打球を放ち、二塁走者の坂本勇人がまず生還。次いで一塁走者の丸佳浩が本塁を狙ったが際どいタイミングになったため、岡本和が生還を助ける走塁で挟殺されたもの。一気に三塁打を目指して阻まれたことは1度もない。通算盗塁は9。失敗は1度しかなく成功率は9割と高い。走塁面では確実性を重視しているともとれる。ただ、岡本は今季25歳と若い。積極的な走塁で公式戦初の三塁打を狙いたい。

 岡本和のように長打のブランクが続く選手がいる一方、デビュー以来二塁打、三塁打、本塁打を毎年マークしているのがソフトバンクの松田宣浩だ。06年にデビューしてから昨年まで15シーズン連続で、もれなく3種類の長打を打ち続けている。入団1年目から最も長く全長打を記録したのは高木守道(中日)の20シーズン。高卒で入団した60年から79年まで続けた。惜しかったのは引退した80年でこの年は二塁打6本、本塁打5本を放ったが三塁打を打てず途切れた。

 シーズン数では高木に及ばないが、「全シーズン長打コンプリート」を達成したのが南海、近鉄で活躍した新井昌宏。75年に南海でデビューしてから92年に近鉄で引退するまで18シーズン連続で各年全長打をマークした。他に著名な打者では若松勉(ヤクルト)が71年から88年まで18シーズン続けたが現役最終の89年は三塁打ゼロでストップ。以下、毒島章一(東映)17シーズン、立浪和義(中日)16シーズン、飯田徳治(南海―国鉄)15シーズン、長嶋茂雄(巨人)14シーズン、張本勲(東映)14シーズンなど1年目から長期にわたって3種類の長打をマーク。だが、いずれも全シーズン長打で埋めることは出来なかった。難易度が高いこの記録。松田はいつまで継続できるだろうか。(敬称略)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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