楽天・マー君、深化の75球 NPB3163日ぶり黒星も、MLB流投球術で沸かせた

2021年04月18日 05:30

野球

楽天・マー君、深化の75球 NPB3163日ぶり黒星も、MLB流投球術で沸かせた
<日・楽5>初回、マウンドに上がりプレートにそっと触れる田中将(撮影・白鳥 佳樹) Photo By スポニチ
 【パ・リーグ   楽天1ー4日本ハム ( 2021年4月17日    東京D )】 8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手(32)が17日、日本ハム戦で今季初先発し、5回を4安打3失点で敗戦投手となった。右ふくらはぎを痛め、3週間遅れの国内復帰戦。調整登板を経ずにマウンドに上がったが、2発に泣いた。レギュラーシーズンでは12年8月19日以来3163日ぶりの黒星を喫し、連続シーズンのプロ野球記録は28連勝でストップ。それでもメジャーで培った投球術を披露した。
 神の子も人の子だ。13年11月3日、雨の仙台での日本一から2722日ぶりの国内復帰戦は黒星から始まった。悔しさは募るが、田中将は登板後に全投球を映像で見返した。次は必ず勝つために。

 「これだけ投げられたとか、前に進むためのものは事実としてあるが、先々を見据えてではなく、勝たなければいけないゲームだった。残念です」

 開幕2戦目となる3月27日の日本ハム戦で復帰登板が予定されていた。直前に右ふくらはぎを故障し、回避。最後に打者相手に投げたのは3月20日のオープン戦。約1カ月のブランクで臨む、異例のぶっつけ本番だった。

 1週間前と2週間前に100球前後の投球練習を行った。「休憩を挟み試合を想定して。できる範囲での調整はしていた。正直その影響はそんなになかった」。球数のメドは80球。周囲からの期待や故障した自らへの葛藤が力みにつながり、制球が乱れた。初回に2死から四球を許し、中田に先制2ランを被弾。2回に石井に浴びたソロは味方が1点差に迫った直後だった。いずれも狙いとは逆の高めに浮いた直球で「点の取られ方が良くなかった」と悔やんだ。

 「高校時代はスピードガンと勝負していた」と振り返る。プロ入り後も150キロ超の直球でねじ伏せ、13年に伝説の24連勝を成し遂げた。海を渡り、本場の野球を知り、自らの現在地を見つめた。投手として勝つための総合力と引き出し。「自分ではそういう投手だと思っている」。年輪を重ね、深みは増した。外角ボールゾーンからスライダーでストライクを取る「バックドア」を随所で見せた。直球の精度の悪さを感じ取った3回以降は変化球中心の組み立てにスイッチ。好感触を得たスライダーを軸に、スプリットはカウント球で使うなどしっかり修正した。5回を75球で投げ抜き、先発として最低限の投球で次のステップを踏んだ。

 12年から続いていた連勝は28で止まった。「物凄く間が空いたことなので、特にピンと来ないのが正直なところ」と言い、次戦を見据えた。24日の西武戦、仙台での凱旋登板だ。「今日の投球を踏まえ、どう調整していくか。良い状態で本拠地のマウンドに上がれるようにしたい」。重圧と悔しさを誰よりも糧に変えてきたからこそ、今の田中将大がある。(後藤 茂樹)

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