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阪神・秋山「“一所懸命”頑張れた」独占手記で紆余曲折の日々を回想

2024年09月25日 05:15

野球

阪神・秋山「“一所懸命”頑張れた」独占手記で紆余曲折の日々を回想
<神・ソ>引退セレモニーでナインから胴上げされる秋山(撮影・後藤 正志) Photo By スポニチ
 【ウエスタン・リーグ   阪神7―8ソフトバンク ( 2024年9月24日    鳴尾浜 )】 阪神・秋山拓巳投手(33)が24日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦(鳴尾浜)で引退試合を行い、1回2安打2失点と先発で最後の力投を見せた。武器だった外角低めの直球を捉えられ2ランを被弾も、こだわり続けたワインドアップで全力投球。4勝を挙げるなど華々しくデビューした高卒1年目から15年間のキャリアに終止符を打ったベテラン右腕は本紙に独占手記を寄せ、紆余(うよ)曲折の日々を回想。同期入団の原口を自宅に呼んで引退を伝えたことなど秘話も明かした。
 最後はこだわり続けたワインドアップで投げた。右膝の影響でこの2年はやりたくてもできなかったが、あれが自分の投球フォーム。振りかぶって終わることができて満足している。

 リチャード選手に2ランを打たれたのは外角低めの直球でいわゆる“原点”。一番打たれない球で、あそこに投げきれるかにピッチャーのロマンが詰まっている。引退登板の時までこだわってできたのはよかった。

 15年間、タイガースのユニホームを着て“一所懸命”頑張れた。振り返ると本当にいろいろなことがあった。

 1年目で初めて1軍昇格を伝えられた時の喜びに勝るものはない。1軍のマネジャーから電話があって“秋山1軍や”と。寮の部屋で本当に飛びはねて喜んだ。すぐに向かいのグッチ(原口)の部屋に行って、明日から頑張ってくるわ!と興奮しながら言っていた。

 いまだに後悔していることもある。4勝を記録した1年目のオフ。一緒に自主トレをさせていただいた城島(健司)さんに「5年目で年俸2億円目指します」と言ったことがあった。楽天の田中将大さんが高卒5年で2億円に到達。それを意識したんだと思うが、どの口が言っているんだと。勘違いをしていたんで、凄く反省をしている。

 ただ、あの1年があったからここまで現役を続けることができたと感じる。高卒でいきなり4勝できた2010年がなかったら成績が悪かった6年目まで球団には辛抱してもらえなかったんじゃないかと。1年目からダメならすぐに打者に転向していたかもしれない。引退発表後、いろいろなSNSでファンの皆さんが「秋山といえば」と挙げてくださるのがナゴヤドームで打ったプロ1号が多いこと(笑い)。当時はあまり触れられるのは好きじゃなかったけど、今となれば良い思い出かなと。

 キャリアでの転機は16年。2軍で自分と成績があまり変わらない若手投手がどんどん1軍に昇格していった。自分の優先順位が落ちたんだなと感じた。これはホンマに終わるんやわ…と、危機感を抱いた。そこから理想の投球フォームに固執しなくなった。打者が嫌がるシュートを覚えたり、変わることができて17年に初めて2桁勝利することができた。

 グッチのことも話さないといけない。高校時代の国体で対戦したが、当時は全然存在を知らなかった。プロでは同じ高卒の同期入団。特別な存在だった。引退を決断した12日、1軍の試合は雨で中止。わざわざグッチに家に来てもらって直接、引退することを伝えた。頑張れる人間に「頑張れ」とは言えないけど、後悔しない野球人生をこれからも歩んでいってほしい。

 最後になるが、球団には何年も辛抱してもらって、ここまで面倒を見てもらって本当に感謝している。大好きなタイガースで引退できることの幸せをかみしめているし、これからも別の形で貢献していきたい。ファンの皆さまも日本一の応援を15年間、本当にありがとうございました。 (阪神タイガース投手)

 ◇秋山 拓巳(あきやま・たくみ)1991年(平3)4月26日生まれ、香川県出身の33歳。西条(愛媛)では3年春、夏に甲子園出場。09年ドラフト4位で阪神入団。新人の10年に9月12日のヤクルト戦で無四球完封など4勝。17年は自己最多12勝。1メートル88、101キロ。右投げ左打ち。

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