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法政大学【対慶大2回戦】投手粘るも…打線がつながらず痛い引き分け

2017年09月25日 05:30

野球

法政大学【対慶大2回戦】投手粘るも…打線がつながらず痛い引き分け
サヨナラの期待がかかる中打席に入った森だが、一邪飛に倒れた(C)スポーツ法政新聞会 Photo By 提供写真
 【対慶大2回戦   法大3-3慶大 ( 2017年9月24日    神宮 )】
 昨日の大勝から一転。相手先発の津留崎大成から安打は打つものの攻略することはかなわず前半わずか1点に封じ込められる。後半も川口凌(人3)が今季初安打初打点を挙げるなど2点を返したが、慶大岩見雅紀の本塁打などで奪われた3点は大きく逆転はできないまま9回へ。2アウト三塁というサヨナラの場面で昨日復帰した森龍馬(キャ4)が打席に入りスタンドの応援も盛り上がったが、一邪飛と力負け。いまだ勝ち点のない法大には痛い引き分けという結果に終わった。

 勝ち切れなかった。再三得点圏に走者を進めながら、残塁は10。あと一本が出なかった。昨日、今季初勝利を果たして迎えた今日の対慶大2回戦。今季初の勝ち点奪取へ。昨日の一方的なゲーム展開とは打って変わり、締まったゲームを展開。選手たちは逆転を許しても粘りの野球を見せた。積極的な走塁や控えに回る伏兵による活躍。課題と収穫が垣間見えるゲームとなった。

 法大の先発は長谷川裕也(経4)。前回の登板は5回を持たず6失点と打ち込まれたが、この試合ではコーナーを丁寧に突く投球を披露。3回まで無安打4奪三振と最高の立ち上がりを見せる。一方の打線。4回まで毎回のように走者を出しながら得点に結び付けられない。初回の相馬優人(営2)のバントミスや、4回の鎌倉航(法3)のエンドラン失敗といったここぞという場面で作戦がハマらなかった。チームがチャンスを作りながら決めきれない嫌な流れでも長谷川は落ち着いた投球を続ける。5回まで慶大打線を完全に手玉に取り無失点。慶大に主導権を渡さない。そんな均衡状態の中、試合が動いたのは5回裏。昨日から1番にすわる舩曳海(キャ2)が好走塁もあり遊撃への内野安打で二塁まで進むと、一人倒れて3番毛利元哉(法2)の打席では暴投を三塁方向に捕手が弾いたのを見て迷わず三塁へ。毛利が四球を選び1死一、三塁となった場面で4番中山翔太(人3)がきっちり犠牲飛を放ち法大が1点を先制した。しかし、直後の6回表。難なく2死としたが、長谷川が突如崩れる。死球で走者を出すと、すかさず盗塁を許し2死二塁で慶大の3番柳町逹に同点打となる右中間への適時三塁打を許してしまう。続いて迎えるは、六大学現役選手の中でトップの本塁打を放っている4番岩見雅紀。2ストライクと追い込んでからの4球目だった。真ん中高めを要求した鎌倉のミットよりも低め投げた球は完全にど真ん中へ。これを岩見が見逃すはずがなかった。完璧に捉えた打球は特大の左越え本塁打となって2点を勝ち越されて、この回に逆転を許してしまった。「また逆転負け」。中盤の逆転劇で敗色ムードが漂うかと思われた。しかし今季の法大はここからが違った。6回の裏、死球で出た走者を犠打でつないで2死二塁とし、ここで代打川口凌(人3)。その2球目。悪い流れを切り裂くかのような鋭い当たりは中前へ。明大戦では開幕スタメン入りをしながら打撃不振で先発から外されていた男の一振りで1点を返した。7回表からは熊谷拓也(キャ4)が登板。先頭に二塁打を許すも、ここで、この回から鎌倉に代わって捕手に入っていた中村浩人(営3)が魅せる。「しっかり準備してました」という言葉通り、飛び出した走者を矢のような送球でアウトにした。これで勢いに乗った法大。8回裏に先頭の小林満平(法3)が二塁打で出塁すると続く中村の相手守備の失策を誘う絶妙な犠打で無死一、三塁のチャンスを作る。続いての打者は熊谷。普通なら代打を送ってもおかしくない場面だが青木久典監督は、あえて熊谷をそのまま打席に送った。「バッティングもいいですし、総合的に考えて打席に立たせました」と平塚学園時代には4番も打っていた男に懸けた。2ストライクと追い込まれた後、何とかバットに当てた打球は詰まって遊撃の前へ。これが功を奏し、遊ゴロの間に三塁走者の小林が同点のホームを踏んだ。終盤から好救援を続ける熊谷の意地の一打にベンチが湧く。そして勢いそのまま9回裏。先頭の毛利が安打で出塁し2死二塁となって、ここで代打森龍馬(キャ4)。今はケガで代打要因となっている男が、切り札としてここで登場した。その初球。ショートバンドし捕手が弾いた球を見て、代走として出ていた斎藤卓拓(社3)が三塁を陥れる。今日はプロ野球併用日で延長がないため、この回で試合は終わる。2死三塁。誰もがサヨナラを予感した。そして森への2球目。力強く振り抜いたかのように思えた打球は一塁後方のファールグラウンドへ。これを一塁手がしっかり掴んで規定による9回引き分けで試合終了となった。

 まさに、あと一歩足りなかった今日の試合。選手たちは口々に反省の弁を語っていた。しかし、『いい意味で反省』と監督が話すように、次の塁を積極的に狙う走塁や控え選手の活躍など選手層の厚みを見せ、チーム総合力の高さが伺えた。昨季6連勝を果たしたのは勢いだけではないだろう。今日の反省を生かせれば法大が優勝争いに絡んでくることは間違いない。明日からのゲームにも注目だ。(具志 保志人)

 【クローズアップ】川口凌(代打で出場し貴重な中前適時打を放つ 不振に終わった明大戦から復調の兆し)

 開幕戦となったの明大戦ではスタメンに名を連ねたものの、無安打に終わり精細を欠いた川口。今週の慶大戦では無念のスタメン落ちとなったが、今日は6回裏の好機に代打で出場。貴重な中前適時打を放ち、その勝負強さを見せた。

 5回裏に待望の先制点を挙げた法大だったが、直後の6回表に逆転を許し、流れは慶大へと傾きかけていた。このまま流れを引き渡したくない6回裏、2死2塁の好機に代打で送られたのは川口だった。先週の明大戦を終えてから調子を上げるために様々な人からアドバイスを受け、そこから自分で試行錯誤を重ね、打撃フォームをマイナーチェンジした川口。ソフトバンクホークスの中村晃(帝京高)を参考にしたという。そのイメージを持って放った打球は中前に落ち、慶大に傾きかけた流れを取り戻す貴重な適時打となった。「チームの勝利が第一」と語る通り、スタメンでなくても気持ちが腐ることはなかった。チームのためにひたむきな努力を重ねたことが、与えられた1打席で結果を出すことができた1番の要因であろう。

 夏季オープン戦では結果を出し、中軸として周囲からの期待も高まっていただけに、今日のこの一本をきっかけに再び調子を取り戻すことが期待される。優勝に向けて川口の勝負強い打撃が重要であることは間違いないだろう。(スポーツ法政新聞会・山崎有馬)

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