【大学スポーツ】明大スポーツ新聞部
明治大学【対立大2回戦】貧打に泣き2−9で惨敗 優勝の望み消える
2017年05月23日 07:30
野球
ベンチにいる選手が、応援している観客が祈るようにして打者を見つめる。9回2死。その思いとは裏腹に、逢澤が打った打球は力なく弧を描き、遊撃手のグラブへと吸い込まれていった。下を向く紫紺ナイン、呆然と立ち尽くす満員の一塁側応援スタンド。わずかに残っていた優勝の夢が、はかなく散っていった。
打てない、ただその一言に尽きた。優勝が懸かった大一番で先発のマウンドを任されたのはルーキーの入江大生投手(政経1=作新学院)。2008年の春、1年生ながら先発し完全優勝した試合で勝ち投手となった野村祐輔選手(平23商卒・現広島東洋カープ)以来の1年春での先発登板だった。しかし「自分の気持ちが負けてしまった」(入江)と3回2死一、二塁から暴投で先制を許すと、5番山根(立大)の3点本塁打を浴び、4失点で無念の降板。それでもチームはルーキーの奮闘に「入江を負け投手にはしたくない」(逢澤)と立大に食らいつく。4回の守備を併殺、三振で反撃へのリズムをつくると、4点差を追う裏の攻撃。1死から代打の平塚大賀内野手(政経3=春日部共栄)が右翼線へ打球を運び二塁に出塁する。そして打席には3番の逢澤。カウント1ボール1ストライクから3球目。「狙っていた」チェンジアップを捉えると、打球は伸び右翼席前段へ。値千金のリーグ戦初本塁打で2点差とする。この1発を反撃の口火としたかったが、後続の打者をわずか3球で切って取られる。その後5回から7回までは立大先発・手塚(立大)の前に出塁できず。140キロ前後の直球と120キロ台のチェンジアップを軸にした組み立てに、8三振と手も足も出なかった。放った安打はわずか4本。「打撃陣が情けない」(竹村春樹内野手・政経4=浦和学院)。不甲斐なさに唇を噛まざるを得なかった。
あまりにもスキが多すぎた。今季は強打者がおらず、貧打に悩まされていた。それだけに守りから流れをつくりたかった。しかし、初回から一塁後方へ飛んだ邪飛を二塁の宮崎新内野手(文4=履正社)と一塁の渡辺佳明内野手(政経3=横浜)が接触して、アウトにできず。バッテリー間では捕逸は記録されなかったが、捕手もボールを止め切れない。盗塁も熊谷(立大)の3盗塁を含む4盗塁を許す苦しい展開が続いた。さらに最終回。4点差のまま裏の攻撃に臨みたかったが、記録にならない失策などでダメ押しの追加点を与え7点差に。スキの無い野球をする明大とはほど遠いプレーの連続で、攻守共に我慢の限界だった。
今日の負けで「優勝にはふさわしくないチームだった」と厳しく自分たちの戦いを振り返った中野速人主将(法4=桐光学園)。戦後初となるリーグ3連覇が途絶えてしまった今、野球技術はもちろん「普段の生活とかも問題」(竹村)と優勝の難しさを痛感させられる試合となった。だが今季の戦いはまだ続く。秋季リーグ戦へいい流れを持っていくためにも、残りの立大戦は落とせない。「明日は何としてでも勝つ」(中野)。このまま終わる紫紺軍団じゃない。運命の3回戦、全力で勝ち点を奪いにいく。[明大スポーツ新聞部 浜崎結衣]