加藤和彦さん“孤独感”にさいなまれ死選択か

2009年10月19日 06:00

芸能

加藤和彦さん“孤独感”にさいなまれ死選択か
19日に密葬が行われる音楽家の加藤和彦さん
 17日に長野県軽井沢町のホテルで首をつり死亡した音楽家の加藤和彦=かとう・かずひこ=さん(享年62)の密葬が19日、都内の斎場で営まれる。かつてフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」で活動をともにした精神科医の北山修=アーティスト名・きたやまおさむ=(63)ら親しい友人だけの別れのセレモニーになる。加藤さんが生前、知人に送った手紙には「葬式はいらない」の一文があったという。
 ホテルの部屋で首つりという衝撃的な死を選んだ加藤さんは、親族とごく親しい友人らに見送られ旅立つことになった。関係者によると、最近、加藤さんが10人近くの親しい友人に贈った貴重なギターコレクションには、それぞれ内容が違う遺書のような手紙が添えられており、その1通に「葬式はいらない」と記されていた。本来なら故人の遺志に従って荼毘(だび)に付すところだが、北山、はしだのりひこ(64)、平沼義男(62)ら「ザ・フォーク・クルセダーズ」のメンバーらが「最後の別れを…」と望んだ。
 加藤さんは音楽を中心に、幅広い人脈を持っていた。そのため関係者は「皆さんが最後に会える機会をつくりたい」と、来月中に「お別れ会」を行う方向で動き始めた。
 加藤さんはうつ病と診断され、この1カ月ほど前から症状が悪化。担当マネジャーによると最近は、周囲に「ありがとう」と口癖のように言っていた。「死を覚悟し、感謝の気持ちを伝えようとしたようだ」という。
 「人が喜ぶ姿を見るのが何よりも好きだった」とマネジャー。ラジオ局に大きな紙袋を提げて現れ、「カエラの誕生日だから」と、再結成したサディスティック・ミカ・バンドのボーカル木村カエラ(24)に恥ずかしそうにプレゼントを手渡したこともあった。
 30年以上、加藤さんと音楽の仕事をしていた関係者は「人間ドックにも行っていて、生きることにどん欲だったのになぜ…」と、親友の死を受け入れられない様子。加藤さんは3回結婚したが、子供はいない。かつては「いらない」と話していたが、同じ世代の友人の集まりでは子供や孫の話題になり、「そこに寂しさを感じ始めていたようにもみえた」(関係者)。周囲に気を配り明るく振る舞っていたが、心の中では衝動的に死を選ぶほどの孤独感を感じていたのかもしれない。
【楽天】オススメアイテム