高倉健 9000キロ“完走”に「感慨無量です」
2011年11月28日 06:00
芸能
高倉演じる富山刑務所の指導技官が、死去した妻の故郷である長崎まで約1200キロの道を車で旅する物語。9月7日に撮影を開始した後、主人公の旅路に沿って富山から岐阜、兵庫、福岡、長崎でロケを行ってきた。都内近郊での撮影を合間に挟みながらの総移動距離は約9000キロ。時間に余裕がある限り、車で移動してロードムービーを体感したという。
共演の佐藤浩市(50)、「SMAP」草なぎ剛(37)とともに会見に臨んだ高倉は「いい旅をさせていただきました」と第一声。「降旗監督が珍しく興奮していて、それを見てぐっときましたね」と18作目のコンビとなった盟友との“完走”を喜んだ。撮影を終えた心境を問う質問などには「感慨無量です」と繰り返し、端的な言葉で率直な思いを表現した。
思い出のロケ地を聞かれると「それぞれの…」と言いかけた後「ローマの休日じゃないですが、門司港です」とニヤリ。名作「ローマの休日」のクライマックスでオードリー・ヘプバーン演じる王女が、欧州で印象に残った街を聞かれ「ローマです」と語るシーンにちなんだ答え。日本映画界の至宝を前に、緊張感が張り詰めていた場が笑いに包まれた。
83年の「南極物語」以来の共演だった佐藤は「“頑張れ、これからだぞ”と言われたのが新鮮でした。また山を作っていただいた」と感謝。初共演の草なぎは「スペシャルで貴重な時間を過ごすことができた」と振り返った。日本映画のバトンをつなげたいという高倉の思いは、後輩たちがしっかり受け取っていた。
▽「あなたへ」 富山刑務所で指導技官として働く主人公は、「遺骨を故郷の海へまいて」と遺言を残した妻の希望をかなえるため、自家製のキャンピングカーで旅に出る。その道中で、妻との思い出を振り返りながら、出会った人々と心を通わせていく。08年に死去した市古聖智さんが書き下ろしたプロットに、降旗監督がアレンジを加えた。