ラストの抽象的セリフに…忽那汐里の女優魂“ミタ”
2012年01月18日 06:00
芸能
評論家・川本三郎氏のノンフィクションが原作。1970年代前後を舞台に週刊誌記者と過激派学生が出会い、衝撃の事件を起こしていく姿を描いた。忽那は週刊誌記者と心を通わせながら、事態を冷静に見つめる高校生のヒロインを演じた。
92年生まれの少女にとって、学生運動が高揚した70年代前後はほとんど未知の世界。「台本を読んだ瞬間、難しいとため息が出ました。学生運動と聞いても印象が浮かばないですし、物語も右翼や左翼いろんな人が出てきて混乱しました」
資料を読んで当時のことを勉強しようとしたが「山下(敦弘)監督から時代に染まってほしくないと言われた」という。
特に悩んだのが物語のラストで、記者に親近感を持ちながらも、事態の進展に抵抗感を示す「嫌な感じ」というセリフ。観客の思いを代弁する一言でもあり「この抽象的な言葉がどういう意味なのか、観客の皆さんに共感してもらえるか、ずっと考えていました」
このセリフは川本氏の兄の言葉がモチーフ。試写会で同席した川本氏から「兄に言われた時を思い出した」と感想を告げられ、初めて役への手応えを感じたという。
オーストラリアで生まれ育ったバイリンガル。14歳で帰国した当初は日本語の発音の難しさに悩んだこともあったが、勉強して克服した。「夢はハリウッド?」と尋ねると「そのためにはオーストラリアなまりの英語を矯正しないと」。生真面目な19歳の未来は希望に満ちあふれている。
◆忽那 汐里(くつな・しおり)1992年(平4)12月22日、オーストラリア・シドニー生まれ。06年、第11回国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞。07年TBS「3年B組金八先生」でデビュー。08年にはグリコの50代目ポッキープリンセスに起用され、昨年は日本テレビ「家政婦のミタ」の長女役が大評判。