後輩のために私が歩き出す…あっちゃん、AKB“卒業”
2012年03月26日 06:00
芸能
衝撃が走ったのは、アンコールのステージ。前田が「私から話があります」と切り出し、その瞬間、2万5000人の観客のどよめきが起こった。サプライズ発表に慣れているファンには前田の口から出てくる言葉は、もう、分かっていた。
「14の時にAKBのオーディションを受けました。人生で初めての大きな決断でした。そして、きょうここで、2回目の大きな決断をさせてください。私、前田敦子はAKB48を卒業します」
目は真っ赤に腫れていた。叫び声と前田の声を聞こうとする静けさとが、交互に入り交じる異様な空気。アリーナ、スタンド、至る所から「あっちゃんコール」が起こった。顔をくしゃくしゃにした前田は27秒間にわたり、深くおじぎをした。
05年の結成時からAKBの顔として活動。ファン投票で選抜メンバーに選ばれる総選挙では、09年、11年と2度の1位。もともとリーダータイプではなく、根が明るい子でもない。リハーサルでは真ん中にいても目立たない。でも客前に出ると、観客の目をくぎ付けにしてしまう雰囲気、オーラを持っている。
秋元氏は「AKB48は芸能界の登竜門」と言い続けてきた。だから、この決断をファンは受け入れなければならない。前田も後輩のお手本にならなければならない。卒業後の険しい道を乗り越えていくことが、後輩の夢につながっていく。
あいさつの後、最後の曲「会いたかった」が始まった。だが、メンバーは踊ることも忘れて次々に前田に駆け寄った。最後は同学年で同じ1期生、苦楽を共にした高橋と手をつなぎ、客席に背を向けて花道をゆっくりと笑顔で歩いた前田。ファンが叫ぶ「あっちゃん」の声が、背中を押しているようだった。