役所広司 “黒澤イズム”時代劇で世界進出に自信
2013年06月19日 06:00
芸能
小泉監督は、師と仰ぎ「七人の侍」(54年)や「赤ひげ」(65年)などで知られる故黒澤明監督から受け継いだ手法を現場で駆使している。黒澤組ゆかりのスタッフも多く、カメラの長回しや入念な打ち合わせで、1日に撮れるのは2~3シーン。デジタル化が進む映画界で、数少ないフィルム派の監督らしい現場となっている。
一発勝負の緊張感もあり、岡田は「初めての経験が多く刺激的。最初の1回に全てをかける独特の緊張感がある。スタッフの昔話も僕の財産になる」と黒澤イズムを貪欲に吸収している。
原田美枝子(54)、堀北真希(24)らも出演。夫婦愛や家族愛、恋愛など多様な愛を描く本格時代劇。小泉作品としては、99年のベネチア国際映画祭に出品された「雨あがる」以来の3大映画祭挑戦も期待される。役所は「小泉さんの作品なら、海外のいろんな映画祭も興味を持つでしょう。人間の基本を描いた作品。国境など関係なく上映してほしい」と力を込めた。25日クランクアップ予定。
▽蜩ノ記 昨年の直木賞受賞作で葉室麟氏の小説が原作。江戸時代後期の架空の藩が舞台。無実の罪で3年後に切腹する戸田秋谷(役所)は、藩史の編さんを命じられる。檀野庄三郎(岡田)は監視役となるが、秋谷の気高い生き方に魅了されていく。秋谷を支える織江(原田)との夫婦愛、娘薫(堀北)と庄三郎との恋など絆を描く。やがて秋谷の巻き込まれた事件に、藩政を揺るがす重大事件が絡んでいると判明する。