藤圭子さん飛び降り自殺 数年前「話す人いなくて寂しい」
2013年08月23日 06:00
芸能
同署は、藤さんが飛び降りたとみられる13階の30代の知人男性宅を実況見分し、転落時の状況を確認。2LDKの部屋のベランダに、足場にしたとみられるクーラーボックスとともに、スリッパの片方が残されていた。
衣服の乱れや争ったような跡はなく、同署は事件性はないと判断。遺体からアルコールなども検出されなかった。知人男性は「6年くらい前から一緒に住んでいる。別の部屋で寝ていて転落に気付かなかった」と話しているという。男性と内縁関係はなく、遺書は見つかっていない。
藤さんは1969年に「新宿の女」で歌手デビューし、70年に「圭子の夢は夜ひらく」が大ヒット。71年に歌手の前川清(65)と結婚するが翌72年に離婚。79年に引退表明して渡米し、その後、照實氏と再婚して83年には娘の宇多田を出産。96年には宇多田と一緒に曲を発表したが、近年は表舞台から遠ざかっていた。
一体、藤さんに何があったのか。親しかったスポニチ本紙記者に「どうしても会いたい。相談したいことがある」と数年前、電話を入れていた。会ったのは亡くなった場所と同じ西新宿。「久しぶりに日本に帰ってきたけど、話す人がいない。寂しい。昔の知り合いに連絡を取ってみたいけど、電話番号もどこにいるのかも分からない」と、孤独感に襲われていることを吐露。手塩にかけてきた宇多田についても「このままではダメ」と厳しく言った上で「彼女は天才。私よりずっとずっと凄いんです。私がいたらもっとあの子のいいところを引き出せるのに」とアイデアを次々と語っていた。ただ、照實氏と宇多田とは10年近く疎遠になっていて、「もうずっと会っていない」と明かしていた。
家族との愛憎は現役時代からで、金銭トラブルで母親とは絶縁。音楽界の生みの親で、3月に亡くなったプロデューサーの石坂まさをさんのことも憎んでいた。
かつて藤さんは本紙記者に「感情を抑えることができない。パニック障害と診断された」と明かしていた。あまりにも研ぎ澄まされた感性が周囲とのあつれきを生み、孤独になっていった。時代の徒花(あだばな)とも言われた天才歌手ゆえの悲劇かもしれない。