歌舞伎界の象徴また…三津五郎さん急死 59歳早すぎる
2015年02月23日 05:30
芸能
三津五郎さんは13年9月にすい臓がんの手術を受け、昨年4月に仕事に復帰。その後、闘病前と変わらぬ存在感ある演技を披露していたが、同9月の定期健診で肺に転移が見つかり、翌月の東京・国立劇場での舞踊公演が最後の舞台となった。12月のこまつ座の舞台「芭蕉通夜舟」は降板し、治療に専念していた。
関係者によると、今年1月末にインフルエンザに感染し、肺炎も併発したため、都内の病院に緊急入院。それでも、今月6、7日に都内で行われた「日本舞踊 坂東流」の名取試験には家元として、一時外出をして立ち会っていた。
7日に試験に向かう前には、都内の自宅で、NHK BSプレミアム「美の壺」(27日放送予定)を収録。鹿の革を加工した工芸品「印伝」の魅力について語ったものだが、同席したマネジャーによると、闘病を感じさせない、力のある話しぶりだったという。ところが、その10日後の17日に容体が急変。20日まで意識があったが、21日未明に家族が見守る中、静かに息を引き取った。
すい臓がんの闘病後に務め上げた昨年8月の歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」では、観劇に訪れた市村正親(66)を励ましている姿を周囲が目撃。胃がんの手術を受けて療養していた市村に「無理せずにしっかり治してください。私も仕事ができるようになりましたから」とまるで自らに言い聞かせるような力強い物言いで声を掛け、闘病への強い気持ちをのぞかせていたという。
その「納涼歌舞伎」は、同学年で兄弟のように育った勘三郎さんと主導して企画。若手のリーダー格として、ともに歌舞伎界を引っ張ってきた。勘三郎さんが12年12月に57歳で、13年2月に市川団十郎さんが66歳で他界した後は次代を担う存在と期待され、本人も責任を受け止めている様子だった。
八十助時代にはコーヒーのCMで「違いがわかる男」として人気者に。さらに、元宝塚の寿ひずる(60)と離婚後、フジテレビアナウンサーだった近藤サト(46)と再婚し、芸能マスコミをにぎわしたこともあった。歌舞伎だけでなく現代劇やテレビドラマでも活躍した名優。まるで親友の勘三郎さんを追いかけるようなあまりにも早い旅立ちとなった。