「天皇の料理番」支える森下脚本の魅力「しんしんと染み渡るセリフ」
2015年06月07日 09:00
芸能
![「天皇の料理番」支える森下脚本の魅力「しんしんと染み渡るセリフ」](/entertainment/news/2015/06/07/jpeg/G20150607010493420_view.jpg)
「脚本家の一番の魅力はセリフだと思います。構成はプロデューサーでも直せるところがありますが、森下さんの醸し出すセリフは100年かかっても僕には出てきません。登場人物が10人いるとしたら、脚本家は10人分の心臓を持たないといけないわけじゃないですか。彼女は、それができるんです」
特徴的なワンフレーズがあるかというと、石丸プロデューサーは首を振った。
「そこが森下さんのすごさなんですよ。『このひと言がすごい』ということではなく、物語を積み上げた上でのセリフの妙なわけです。あざといセリフが急に来るということではなく、しんしんと染み渡るセリフを描くのがすごい。書いていって書いていって、読んでいって読んでいって出たひと言は、心のひだに触れます」
最初にタッグを組んだのはTBS「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年7月クール)。当時、森下氏は同局「中居正広の金曜日のスマたちへ」の再現ドラマの脚本を手掛けるなどしており「ひょんなことから出会ったんですよね。この人で勝負したいと思ったんです」と“セカチュー”に抜擢した。
なぜ森下氏だったのか。「好きなものへの感覚が一緒なんだと思います。例えば『どんな青が好きか』ということでも、100人いれば、なかなか同じ青にならないと思うんです。それが森下さんと演出の平川(雄一朗氏)と僕の3人が同じ色だったと思うんですよね。本当に偶然。僕はそんな人と出会えてラッキーだったと思います」
森下氏とタッグを組み、10年。今や本打ち(脚本の打ち合わせ)で、森下氏が「本当はこう書きたかったんじゃない?」と分かるほどの、あうんの呼吸。「自分のプロデューサー人生にとって、同志なので。森下佳子と積み上げてきたプロデューサー人生だと思っていますから。あの人がいなければ、僕は成立しないと思います」と感謝した。
大正~昭和の史実に基づき、日本一のコックを夢見て福井から上京した青年・秋山篤蔵(佐藤健)の成長を描く人間ドラマ。7日は第7話。篤蔵はパリの地に立ち、大使館の粟野(郷ひろみ)を訪れる。