ピース綾部「格差キャラ」への葛藤と決意 揺るぎない又吉へのリスペクト
2015年07月22日 11:40
芸能
又吉の処女作「火花」が芥川賞にノミネートされた6月ごろから、綾部は公の場で「格差キャラ」を貫いている。自身を又吉の「付き人」「アシスタント」と称し、もちろん敬語も忘れない。
でも、綾部は20日、出席したイベントで思わず、本音を口にした。
後輩が「芥川賞作家が近くにいると思うと、緊張感が増しました」と話した後。「おまえらの8億倍、感じてるよ」。
芸人として先に脚光を浴びたのは綾部だった。「熟女好き」キャラで注目され、的確なツッコミを入れる能力はバラエティー番組で重宝されてきた。立場が逆転したという思いもあるのだろう。「初めて会ったとき、あいつ18歳の青年だったんだぜ」。21日に「パンサー」向井慧(29)ら後輩10人らが催した又吉のお祝い会にも、呼ばれてなかったりする。言いしれない葛藤が、その言葉から垣間見える。
でも、綾部はそんな、小さい思いにがんじがらめになっていない。むしろ又吉の快挙を新しい笑いを変えようという、どん欲さにあふれている。
それを裏付けるのが、芥川賞受賞前に又吉がある取材で発した言葉だ。
「(「火花」が)5月に三島由紀夫賞に落選したとき、だいたいの人は“取れなくてもすごい”とか言ってくれたんですよ。でも綾部にだけは、“取らなきゃ意味ねぇんだよ。ビジネスになんねぇだろ”と言われた」
綾部は「火花」によって変化するであろう、2人の関係性と今後の立ち位置を、シビアに考えていたということだ。
でも、綾部の本音はそれがすべてではない。考えてもみよう。「打算」や「卑屈」から、快い笑いが起きるはずもない。関係者は「綾部は文学を全く解さない人物だが、又吉の快挙は自分のことのように喜んでいる」と証言する。相方への揺るぎなきリスペクトが「格差キャラ」の礎なのだ。
そのリスペクトの強さを19日、目の当たりにした。受賞後初めてコンビでファンの前に立った千葉市内での公演。後輩数人を交え、マシュマロをラケットで打ち地面につかないようリレーし、最後に又吉が食べるゲームをした。なかなか成功しない中、迎えた数回目。綾部が落ちそうなマシュマロを華麗に拾い上げるや、「先生!」と叫び、数メートル先にいる又吉に投げたのだ。とっさの時なら「又吉!」だろう。もはや、綾部にとって又吉は「先生」なのだと妙に感心させられた。
ちなみに、投げられたマシュマロは見事、又吉の口にホールインワン。見事なコンビネーションだった。関係に変化こそあれど、芥川賞に惑わされることなく「ピース」は今後も人気コンビであり続けるだろう。