「真田丸」スピンオフ動画が話題 江口カン氏傑作「ダメ田十勇士」29日放送
2016年02月26日 10:00
芸能
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動画としては大作の13分9秒。2分版もあり、NHK総合で過去7回放送。最も早かったのは昨年12月28日の深夜0時13分と、いずれも深夜帯でオンエアされた。13分のロングバージョン(完全版)はNHK総合で過去2回放送(1月10日深夜2時35分、2月6日深夜3時52分)。3回目の今回は最も浅い時間で、しかもプライムタイム(午後7~11時)に昇格。江口氏は「そもそも“裏な人たち”の話。表舞台に出ることになり、親としてはうれしい限りですね」と喜んだ。
そもそも、なぜPR動画を作ることになったのか。ドラマ本編の映像を使わない宣伝方法を探る中、NHKの清水拓哉プロデューサーは商品そのものは隠しながら注意を引く「ティーザー広告」の手法を使おうと考えた。
2009年、相模ゴム工業のコンドームのCM「LOVE DISTANCE」でカンヌ国際広告祭グランプリ(金賞)を受賞し、九州発として話題を呼んだドラマ「めんたいぴりり」(13年)の監督などで知られる江口氏に白羽の矢。江口氏は昨年、街中の人たちが突如野球を始めるトヨタ自動車のティーザーCM「TOYOTA G’s Basaball Party」を企画・演出。清水プロデューサーはすぐに江口氏が思い浮かんだ。
清水プロデューサーはさらに「どんなに放送で大河ドラマを宣伝しても、そもそもNHKを見ていただいている人にしか伝わりません。今回は三谷幸喜さん脚本の娯楽活劇。普段は大河ドラマを見ないような若い人たちにも見てほしい。それなら、インターネットで話題にならないといけないと思いました」とネット動画戦略の狙いを語った。
「真田丸」の登場人物は使えないというのがPR動画の条件。江口氏は真田十勇士を題材にしようとしたが、ドラマに登場する佐助(藤井隆)がネックになり、いったんはあきらめたが「佐助以外というのもあるなと、どこかで開き直ったんですよね」。その後、ダジャレ的に「ダメ田十勇士」という言葉が出て「大河ドラマで扱われる人物って、エリートたちですよね。結果を残した人たち。じゃ、エリートじゃない人たちの話はどうか」とストーリーなどが決まっていった。
昨年下半期で「一番悩んだけど、楽しかった仕事」という難産。江口氏は「いつもそうなんですが、自分には変なところでポジティブシンキングなところがあって。難しいということは、突破すれば誰もやったことがないものになると、いつも思っています。それで一生懸命、粘るのは粘るんです。ダメな時もありますが、難しいと思えば思うほど、突破したくなる。誰もそこに手を付けていないということなので。大河ドラマを応援するムービーを作ってYouTubeで流そうということ自体が、そもそもNHKさんとして画期的じゃないですか。そこがまず、おもしろいと思いました」と振り返り、自身の映像制作ポリシーを明かした。
昨年夏から取り掛かり、完成までに半年かかった。当初は3分程度の予定だったが、13分の大作に。数々のCMを手掛けてきた江口氏だが、YouTubeなどの映像は3分を超えると、視聴されるのが難しくなると言われる。「なので、今回の13分の尺(分数)は実験的で、やや怖かったんです」というが、好反響に「尺の神話みたいなものは、あまり関係なかったんだなと。あまり信じ過ぎない方がいいなと思いました。じゃないと、新しいものが生まれませんからね。ネットはいろいろなものがあるからおもしろいわけで、それが3分神話みたいなことで縛られちゃうと、ネットで見るものの本来の魅力と違ってくるんじゃないのかなと。もちろん見られやすい尺はあると思いますが、自由でいい」と語った。
清水プロデューサーは「高揚というところから、もう一歩進んで感動まで行っている」と「ダメ田十勇士」を絶賛。「ある程度の尺で見せないと、なかなか感動には到達できない。13分の尺だからこそ本格感が出て、独立した作品として存在するんだと思います」と分析した。今月29日の地上波プライムタイム放送で、さらに認知度が高まりそうだ。