【悼む】西田善夫さん 語り口から想像できない正義漢、熱血漢
2016年02月29日 08:30
芸能
NHKのスポーツアナとして1964年、東京五輪を手始めに夏、冬計10回の五輪報道のキャリアは群を抜いている。五輪だけでなく、ONに代表される巨人V9時代、さらに高校野球とまさにスポーツ万能のアナウンサーだった。何十年も前のことも事細かく覚えており、東洋の魔女の優勝の場面を聞かされると、あたかもそのときのシーンが見えてくるようだった。
アナウンサーとしてだけではなく、サタデースポーツなどではスポーツを楽しく、分かりやすく解説するスポーツキャスターの先駆者であったと思う。NHKを辞めてからも大学で講座をもち、各界のシンポジウムにも招かれ、その豊富なキャリアからスポニチ本紙連載「我が道」にも登場していただいた。
笑顔の奥の優しいまなざし、柔らかな語り口からは想像できないが、正義漢、熱血漢で、スター選手に対してでも「絶対におかしい」と切り捨てた。数あるスポーツの中で一番好きだったアイスホッケー。日本代表の国際舞台での活躍を願い、同時に2020年の東京五輪を心待ちにしたが、ともに叶(かな)わぬまま逝ってしまった。(元アイスホッケー担当・石川 照次)