「真田丸」なぜ異例のPR動画 「ダメ田十勇士」若年層に訴求
2016年02月29日 18:10
芸能
![「真田丸」なぜ異例のPR動画 「ダメ田十勇士」若年層に訴求](/entertainment/news/2016/02/26/jpeg/G20160226012099430_view.jpg)
前作「花燃ゆ」が昨年12月13日に終了。1月10日にスタートする「真田丸」のPRを始めるにあたり、ドラマ本編の映像を出し惜しみする方針が採られた。それは視聴者が“満腹”になるのを避けるため。頭をひねった清水拓哉プロデューサーは、商品そのものは隠しながら注意を引く「ティーザー広告」の手法を使おうと考えた。
なおかつ「どんなにテレビ放送で大河ドラマを宣伝しても、そもそもNHKを見ていただいている人にしか伝わりません。今回は三谷幸喜さん脚本の娯楽活劇。普段は大河ドラマを見ないような若い人たちにも見てほしい。それなら、インターネットで話題にならないといけないと思いました」と若年層をターゲットにしたネット動画戦略の狙いを明かした。
年末年始に放送した2分版「ダメ田十勇士」の最後には「真田丸 1月10日スタート」などとストレートな宣伝文句は入れず「#(ハッシュタグ)ダメ田十勇士」とだけ表示。視聴者に対して「何?」と印象付けをし、ネット検索を誘導。YouTube動画にたどり着いてもらう手法を取った。
これが見事に成功。じわじわとインターネット上で話題に。「軽い口当たりのコメディーかと思ったら不覚にも泣ける話だった」「ダメ田十勇士を『真田丸』に登場させてほしい」などの書き込みが相次いだ。
「ダメ田十勇士」の企画・脚本・演出を務めたのは映像作家・江口カン氏。2009年、相模ゴム工業のコンドームのCM「LOVE DISTANCE」でカンヌ国際広告祭グランプリ(金賞)を受賞し、九州発として話題を呼んだドラマ「めんたいぴりり」(13年)の監督などで知られる。
清水プロデューサーは歴史シミュレーションゲームの元祖「信長の野望」とタッグを組んで話題を呼ぶ3DCG地図も仕掛けた。大河ドラマに新しい風を送り込んでいる。
江口氏も「難しいと思えば思うほど、突破したくなる。誰もそこに手を付けていないということなので。大河ドラマを応援するムービーを作ってYouTubeで流そうということ自体が、そもそもNHKさんとして画期的じゃないですか」。「真田丸」の登場人物は使わず、若い人に訴えたい。清水プロデューサーの斬新なオファーに応え、傑作を生み出した。
「真田丸」の最新第8話(28日放送)の平均視聴率は17・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と15%以上をキープ。動画「ダメ田十勇士」の広がりで、ドラマ本編のファンをさらに増やしそうだ。