月9藤原さくら 圧巻の表現力の裏に福山金言 演技未経験起用のワケ
2016年04月17日 09:00
芸能
さくらは広島の児童養護施設で育ち、今は中古車整備会社「ビッグモービル」で整備補助として働く。人とコミュニケーションを取るのが苦手で、職場の同僚ともなじめない。この会社に企業カウンセラーとして週2日勤務するのが神代だった…。
――第1話がオンエアされました。反響はありましたか?
「友達からもいっぱい連絡をもらいましたし、両親も『泣いたよ~』と。ツイッターにもいっぱいメッセージをもらいました。(放送当日は)リアルタイムでスタッフの人たちとピザを食べながら見ました。凄く緊張しました。(心臓が)バクバクしながら見ました」
――演技は今回が初。楽しいところはどこですか?
「自分とは違う人間になれるというのは、今まで全然知らなかった感情でした。佐野さくらがどういう過去を背負っていて、どういう気持ちでいるのか、理解を深めないと演技はできないので、凄く刺激的です」
――逆に演技の難しいところはどこですか?
「難しいことだらけです。すべて難しいです。(周囲に)必死に付いていく感じです」
――第1話のラストは「泣けた」と絶賛の声が相次ぎました。演技未経験とは到底、思えない圧巻の表現力でした。
<神代の元バンドメンバーで言語聴覚士の宍戸夏希(水野美紀)は、さくらの対人関係への苦手意識を和らげようと、音楽療法を試みる。夏希はピアノで伴奏。神代は「好きな歌とか、いつも聴いている歌とか。何でもいいんでしょ」と、さくらに歌を促す。さくらは何とか「次の汽車が…」と声を絞り出す。神代は思わず、しばらく弾いていなかったギターを手に取り、伴奏を始める。さくらは泣きながらも見事に声を響かせる。さくらが歌ったのは、米フォークグループ「ピーター・ポール&マリー」の名曲で、多くの歌手にカバーされた「500マイル」だった>
「最初は別に、泣くシーンではなかったんです。『歌えた!達成感!』みたいなシーンだったんです。でも、どういうふうに歌えばいいのか、いろいろ頭で考えてしまって。2回撮った後、福山さんから『あまり考えず、自由に、歌に出会って楽しいという気持ちで歌ってみたら?』と言っていただいて。そうしたら、それまで要らないことばかり考えていたことに気が付きました。やっぱり歌には楽しいと思える瞬間があって、だから次の3回目のテイクは自然とうれしくて涙が出てきました。福山さんの言葉があったから、自然に歌えたのかな。福山さんの言葉がなかったら、あのシーンはきっとニコニコ笑って達成感に満ちて終わっていたと思います。3回目でOKになりました。いろいろ頭で考えることも大事ですが、演技も歌も、自然体も大切だと思いました」
――撮影はまだ続きます。今後の抱負をお願いします。
「歌が凄く大事な作品。とにかく歌を頑張って、歌を楽しんで歌えればいいと思います」
「電車男」「ガリレオ」「HERO」などを手掛けたヒットメーカー・鈴木吉弘プロデューサーは藤原の抜擢理由について、こう語った。
「非常にユニークで、独特の声を持っています。かわいい顔とのギャップに驚かされるスモーキーボイス。物語は自らの才能の限界に打ちのめされ、音楽業界を離れた神代(福山)という男が、ある歌声に出会ってスタートするので、その声は特別なものであってほしいと思っていました。演技については1クールになるので、うまさだけではなく、持続性が求められます。オーディションで西谷弘監督が何度も何度も芝居をつけてテストしたのですが、それを耐え抜いたという感じです。キャスティングには知名度と新鮮味という2つの違う良さがあると思います。今回は新鮮味を選んだということですね。どんどん歌がテーマの物語になっていって『ここまで歌える人は、なかなかいない。これは探さないと無理』と。最初からオーディションをする気でした」