【ゆとりですがなにか】クドカン新境地“らしさ”も出しつつ社会派
2016年04月17日 10:00
芸能
プッと笑ってしまう小ネタやテンポの良さなど、クドカンらしい展開はあるが、過去の作品とは違った印象を受ける。「木更津キャッツアイ」(02年)や「タイガー&ドラゴン」(05年)のような物語を遡って伏線を追う展開はなく、良い意味で期待を裏切られた。今作への思いについて、宮藤が「国の教育方針で図らずも“ゆとり世代”とくくられた彼らが自虐的に“ゆとり”と口にするゆとりのない現代社会。これは私が初めて挑む社会派ドラマです」と話した通り、得意のコメディーではない新境地になりそうだ。
岡田、松坂、柳楽は同世代で息の合った演技を見せ、巧みにストーリーに引き込ませる。ヒロインを務める安藤サクラ(30)や「レンタルおじさん」役の吉田鋼太郎(57)ら実力派は、いわずもがなの演技力で個性的な役柄を熱演する。岡田扮する正和の後輩を演じる太賀(23)がいい。“どっぷりゆとり”会社員を演じ切っている。
演出は水田伸生氏、相沢淳氏、鈴木勇馬氏。宮藤と水田氏はドラマ「ぼくの魔法使い」(03年)や映画「舞妓Haaaan!!!」(07年)「謝罪の王様」(13年)などでタッグ。ドラマ「Mother」(10年)「Woman」(13年)「Dr.倫太郎」(15年)など、社会派ドラマを数多く手掛ける水田氏の手腕が注目される。