「重版出来!」に第一線の漫画家が続々反応「リアルな感じ」「号泣」

2016年05月03日 18:54

芸能

「重版出来!」に第一線の漫画家が続々反応「リアルな感じ」「号泣」
「重版出来!」で連続ドラマ初主演を務める黒木華(C)TBS
 黒木華(26)主演のTBS系連続ドラマ「重版出来!」。元柔道日本代表で、新人編集者の黒沢心が週刊コミック誌「バイブス」編集部で奮闘する熱血ぶりを黒木が熱演、原作のファンからも好評を博している。しかも、“ご同業”といえる第一線の漫画家たちが、自身の経験になぞらえ、続々と感想をツイートしているのがこれまでのドラマと違った現象で面白い。
 「うしおととら」の藤田和日郎氏は、「ドラマ『重版出来』は今まで観た漫画界ドラマの中で1番、リアルな感じが高いし、気持ちよく描いてくれてると思いますよ」(原文のまま、以下同)とコメント。しかし「ホタルノヒカリ」のひうらさとる氏は、「“漫画家には“読者”っていう浮き輪が必要なんだ。”号泣…」とし、さらに「これね、アイドルにとってのファンだからね…」とセリフに心を動かされた様子。一方、「モテキ」の久保ミツロウ氏は「ネーム催促されるあのシチュエーションだけで過去の嫌な記憶ばかり蘇ってきていい話だったのに自己嫌悪しか残ってない…」と、自身の苦い経験がフラッシュバックしたようだ。

 「重版出来!」が漫画好きだけでなく、本職のプロも面白いと感じているのは、各エピソードで登場する作品を、実在の漫画家が手掛けているからでもある。

 第1話、小日向文雄演じる三蔵山龍作品「ドラゴン急流」は、「機動警察パトレイバー」のゆうきまさみ氏が手掛けており、ベテラン漫画家のデッサンが狂っているという危険なテーマ設定もあって、実況のまとめサイトまでできたほど。ゆうき氏本人もつぶやきに参加するなど、漫画家と読者が一緒に盛り上がった。

 第2話の「たんぽぽ鉄道」の作画には「星守る犬」の村上たかし氏が、第3話では、要潤演じる成田メロンヌ作「黄昏ボンベイ」を「アフロ田中」ののりつけ雅春氏が、そして滝藤賢一演じる高畑一寸作品「ツノひめさま」は、「とめはねっ!」の河合克敏氏が描いており、協力している小学館漫画編集部の本気度は最高潮に。加えて「たんぽぽ鉄道」を書店員(中江有里というのが絶妙)と営業がタッグを組んで仕掛けるエピソードは、石塚真一氏の「岳」がヒットした経験を下敷きにしていたため書店業界の反響も大きく、編集部の雰囲気もほぼ忠実に再現されている。

 テレビにしろ、新聞社にしろ、いわゆる業界もののドラマは苦戦するとはよく言われる。視聴率という視点で見れば会心のヒット作には至っていないが、数字は徐々に上昇傾向。今後の口コミによるブレイクに期待したいところ。小ネタを掘り起こす楽しみも多々あり、次々に実在の漫画家が裏仕事を手掛けるかと思うと、話題作の多い4月クールのドラマの中でも、異色の意欲作ではないだろうか。
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