布袋寅泰、50代の世界挑戦 客席半分 ロンドンで“下積み生活”
2016年06月21日 11:30
芸能
「自分のスケジュールは自分で管理してるよ。楽屋を片付けるのも自分。最近はね、ライブが終わったらすぐに帰れるように、開演前に全部片付けちゃうんだ」
充実感に満ちているのか、ロンドンでの暮らしぶりをうれしそうに明かす。ギターを担いで満員電車で移動するのは当たり前。1人でスタジオに行って鍵を開け、機材の電源を入れ、曲を作り、鍵を掛けて帰る。
「とにかく自分で何でもやるようになった。人任せが当たり前だと思っちゃいけない。BOOWYが始まった時も自分たちで全部やっていたわけだし。自分をリセットする意味でもよかった」
氷室京介(55)らと伝説のロックバンド「BOOWY」を結成したのが35年前。その当時の環境にあえて身を追いやり、初心に戻ってスキルを磨き、曲作りに励んでいる。
原動力は、悔しさだ。12年夏に移住後、まだ現地でCDや音楽配信のヒットはない。公演実績も乏しく、内容に満足できるライブもできていない。昨年10月のライブでは渡英後最多となる約800人の観客を集めたが「自分を大きく見せようとしたり、認めてもらおうという気持ちばかりが先走って、一番不満が残るライブをやってしまった」と唇をかんだ。
そこで思い出したのが、目の前の客と楽しむという原点。手応えを得たのは今年2月、ベルリン、パリ、アムステルダムの3カ所で開催した公演だった。
「お客さんから目を離さずに楽しんでいると、一人一人に伝わっていくのが感じ取れた。これはいいぞ!っていう確信を、満員ではないオーディエンスの中に見つけることができた」
3公演とも客席は半分ほどしか埋まらなかった。観客が20人しか集まらなかったBOOWYの初ライブを思い出した。
「あの時は悔しかったけど“でもこの20人には絶対に伝えるんだ”という強い思いがあった。自己紹介してプレーして、誰かの気持ちをつかもうって。あれから35年たって、今、全く同じ思いを持ってやっている」