道上洋三アナ 永さん追悼「“ラジオの恩人”です」
2016年07月11日 21:00
芸能
また永さんは、旅先から夫人に絵はがきを送る習慣があったという。2002年に夫人が亡くなった後もハガキを自宅の夫人宛てに送り続けた。妻の死から6年ほどたったある日、道上氏は今まで見たことのない永さんの弱気な姿を目撃した。
永さんらが企画し、京都市内で毎年開催されていた「宵々山コンサート」。永さんが開演コンサート前に1時間ほどステージでしゃべるのが恒例だったが、その年はわずか20分ほどで切り上げた。楽屋に戻った永さんに、ゲストで出演していた道上氏は心配して「どうしたんですか」と尋ねると、「声が出ない」。声はいつも通りだったため理由を再び聞くと、永さんは「書けないんだ…」とポツリ。妻への絵はがきのことだった。
妻の死後ずっと書き続けていた絵はがきを、なぜ書けなくなってしまったのか。永さんは「だって読むの、俺だもん」と涙目でつぶやいた。旅先から帰ると、妻に送ったはがきをポストから取り出すのは自分。その寂しさを、6年たってようやく実感したようだった。道上さんは、「“大往生”などで人の生死について書いていた人が、自分の妻の死は長く受け止められていなかったんだな、と思った」と振り返った。
永さんについて「言葉や間を大事にされ、ラジオの神髄を誰より分かっていた。番組にも呼んでくださり、何かと教えて頂いた“ラジオの恩人”です」と語り、その死を悼んだ道上氏。「たくさんたまった絵はがきを、天国で奥様に届けてあげてください」と言葉を送った。