中島裕翔主演「HOPE」に込めた“二重”の思い 熊本にも届け
2016年07月16日 09:00
芸能
原作のタイトルは囲碁用語で「まだ“生き石”にも“死に石”にもなっていない、これからどうにでもなれる状態」という意味。無限の可能性を秘めた新入社員の主人公たちを指す。
「ミセン―未生―」が韓国でヒットした理由の1つに、タイトルの短さがあったと渡辺氏は分析。「『ミセン』という言葉自体、韓国であまり知られておらず『どういう意味?』と引っ掛かりがあったからこそ、一般名詞化して『ミセン・シンドローム』という言葉も生まれたほどでした。日本のタイトルもキレのいい、短い言葉がいい」と頭をひねった。
「HOPE」の直訳は「希望」だが「期待の新人という意味で『期待のホープ』という言い方もするじゃないですか。主人公の一ノ瀬は『いつか自分も会社のホープになりたい』と思っています。オンエア翌日の月曜日からまた頑張ろうと思えるような、このドラマが視聴者の皆さんの『希望』になれば、と二重の意味を込めました」。
企画書の段階の仮タイトルは「まだ何者でもない僕たちは」と長めだった。原作の意味を忠実に伝えようとしたが、これを縮めるのに「1カ月半ぐらい悩みました」。会社モノというストーリーラインが想像されるように「『HOPE』という“ゴール”とは反対のサブタイトル『~期待ゼロの新入社員~』を付けました」と完成に至る経緯を明かした。
タイトル決めの真っ最中だった今年4月、熊本地震が発生した。渡辺氏は熊本市生まれ。実家の建物は無事だったが、家具が倒れるなど家の中は大変な状況だった。「熊本城があのようになっている姿を見るのが一番つらかったです。シンボルと言うと簡単なんですが、市内のどこからでも見える、心の拠りどころみたいなところがあって。それが崩れてしまい、もう直らないかもしれないというのを目にした時は本当に泣きそうになりました」と振り返った。
「今、希望という言葉をストレートに使うのは照れくさいと思われるかもしれませんが、このドラマを通して、視聴者の皆さんに『もしかしたら自分の生活にも、まだ希望はあるんじゃないか』と感じていただけると、うれしいです。熊本に限らずですが、どんな状況にある人にもメッセージとして届けたい。そういう思いは『HOPE』というタイトルに乗っかっています」