ポルトガル欧州Vで…「ラブ・アクチュアリー」リメークならあの場面は?
2016年07月18日 17:02
芸能
テーブルで注文を終え、ほどなく出てきたワインを味わう。だが、メインの料理がなかなかこない。トイレに行く振りをして厨房(ちゅうぼう)をのぞいたら、なんとシェフもウエーターもラジオにかじりついているではないか。ポルトガル語は全く理解できないけど、流れている放送は間違いなくサッカーの実況だった。今思えば地元の強豪スポルティング・リスボンが、今で言うチャンピオンズリーグにでも出場していたのだろう。とにかくお客の注文などそっちのけだ。欧州のサッカー人気については基礎知識として理解してはいたが、まさかここまでだとは。空腹感は別として、心地よいカルチャーショックを味わった。
2つ目は2003年に見た映画「ラブ・アクチュアリー」。コリン・ファース演じる英国の小説家が、恋人に裏切られた傷心をいやすため、南仏の別荘に滞在する。そこで雇われたのがポルトガル人の若い家政婦(ルシア・モニス)。ちょっと訳あり風の美女だ。
初対面のシーン。家政婦が英語を理解できないと紹介された小説家、いきなりボールを蹴る動作をしながら「…エウゼビオ?」と問いかける。ポルトガル史上最高のフットボーラーの名だ。日本なら(野球だけど)ナガシマかオーかといった存在。故郷の英雄の名を出せば会話が弾むと信じて疑わない英国人男性の下心、ってわけだ。
ところが家政婦は無反応。発音が悪かったというより、当時の女性はオトコが思うほどサッカー好きではないという設定なのだろう。このひねったエピソード、欧州サッカーファンが見たら「ぷっ」と吹きだすところだ。残念ながら日本国内で見た映画なので、観客の反応は(筆者も含め)極めて薄かったが…。
ちなみにこの二人、言葉の壁を越えてハッピーエンドとなる。エウゼビオ作戦は失敗したにもかかわらず。
さて2016年。英雄も手にすることが出来なかったユーロ優勝のカップは、ついにイベリア半島最西端の国にもたらされた。首都で行われた凱旋(がいせん)パレードのニュースからは、もう男も女も関係ない熱狂ぶりが伝わってくる。
もし「ラブ・アクチュアリー」が今後リメークされるとしたら、前述の場面はこうなるはずだ。
小説家「ええっと、ロナウド、知ってる?」
家政婦「もちろん!私、彼の大ファンなの!」
以降、二人はすっかり意気投合しましたとさ…なんて展開、かえってつまんないかもね。全然ひねってないし。(記者コラム・我満 晴朗)