浜野謙太 俳優と音楽“兼業”の理由「このままどっちも中途半端で」
2016年08月21日 11:00
芸能
1メートル57と小柄で、周囲を和ませる愛嬌(あいきょう)のある人柄。「とと姉ちゃん」ではヒロイン一家が居候していた仕出し弁当店で大将からいじられる板前・長谷川役、「好きな人がいること」でもムードメーカー的な役どころで、素顔同様の愛されキャラがはまっている。
06年の映画「ハチミツとクローバー」で俳優に初挑戦。11年の映画「婚前特急」で、当時活動していたインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」のライブを見た前田弘二監督からヒロインの相手役に抜てきされ、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞するなど評価された。「台本を読んでぜひやらせてほしいと思った。自分の中ではそれまでミュージシャンの比率が高かったけど、そこから本格的に俳優業が始まった」と振り返る。
今年4月から放送されたTBS系ドラマ「ディアスポリス―異邦警察―」では、松田翔太(30)が演じる主人公の相棒役。東京在住の密入国者でつくる「裏都庁」が舞台で、9月3日公開の映画版「ディアスポリス―DIRTY YELLOW BOYS―」では留学生犯罪集団を追う。
1メートル81の松田とバディを組むでこぼこ感も手伝い、シリアスでダークな作品世界にコミカルさをプラスする。松田からは試写会で、狭い車内で撮影中におならをしたことを暴露されたり、「朝ドラと月9に出て、てんぐになってる」などといじられる。「翔太くんのほうが年下だけど兄貴肌で“飲もうよ”と誘ってくれる。役へのアプローチの仕方が似ていたり、凄く気が合う」と明かす。出演作を重ね、「バラエティーではどんどん逸脱したほうが面白いけど、ドラマや映画は、台本やキャラクターを逸脱せずに守るのか壊すのか、その葛藤がスリリングで楽しい」と俳優業の醍醐味(だいごみ)を味わっている。
中学の時にトロンボーンを始め、高校卒業後、高校の先輩だった星野源(35)らの「SAKEROCK」に加入。トロンボーンを担当したが、昨年解散。「在日ファンク」はファンクの帝王ジェームス・ブラウン(JB)に憧れ、日本に在りながらファンクを再認識しようと07年に結成。JBばりのシャウトや軽快なステップで観客を魅了する。今年も人気の音楽フェスに出演するなど活動は順調で「朝ドラ、月9、フジロックフェスティバル、ロック・イン・ジャパン・フェスティバル、この4つに同じ年に出てる人は他にいない」と胸を張る。
明るいキャラクターはバラエティーでも重宝される。同じくマルチな活躍を見せるピエール瀧(49)とは「とと姉ちゃん」で共演し「僕が瀧さんと違うのは、音楽で一度もブレークしてない。瀧さんにそう言ったら喜んじゃって、事あるごとに“おまえはそんなんだから音楽でブレークしないんだぞ”って言われました。全てにおいて先を行かれてるので、頭が上がらない」と苦笑い。
私生活では12年にモデルのAgatha(アガサ、30)と結婚。長男(3)と長女(2)の育児に積極的で「毎朝ご飯を作ってます。妻にいちいち聞いて全然おぼつかないけど、ちゃんと関わっていたい。妻はめんどくさいと思うけど、めんどくさがらずに俺を成長させてくれって言ってます」と奮闘中だ。
今後も出演作が相次ぐ売れっ子だが“兼業”は変わらない。「音楽と俳優のどっちかに偏ると気持ちが乱れるので、このままどっちも中途半端で、いいバランスでやっていきたい。自分で自分に“おまえはどうなりたいんだ”って突っ込みが入るけど、高みを目指してやっていたら何かが実る気がするんですよ」。そのファンキーさがさまざまな魅力を生み出している。
≪作詞作曲も≫在日ファンクでは作詞作曲も手掛けており、「爆弾こわい」「根にもってます」などユニークな歌詞が印象的。「音に乗せて繰り返すので、強い言葉がいいなと思っています」と説明。ドラマの共演者らにアイデアを出してもらうこともあるといい、「気になる言葉を見つけたら、スマホにメモります」と話した。
◆浜野 謙太(はまの・けんた)1981年(昭56)8月5日、神奈川県生まれの35歳。05年からスペースシャワーTVの番組に出演。13年にフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」でナインティナインの岡村隆史とダイエット対決。在日ファンクは14年にメジャーデビュー。主な出演作は、テレビ東京「モテキ」(10年)、TBS「ナポレオンの村」(15年)、映画「鈴木先生」(13年)など。9月22日公開の映画「闇金ウシジマくん Part3」にも出演している。