新タイガーマスク登場!?
2016年09月20日 11:30
芸能
さっそく、配布された10月期の基本編成表を見てみると、ワールドプロレスリングは相変わらず土曜日の深夜の部分に記載されていた。プ女子の勢いがプロレス中継の放送時間を早めるに至っていないことが確認できたが、すぐに目がくぎ付けになった。ワールドプロレスリングの真上に「タイガーマスクW」と書かれていたのだ。10月からタイガーの新作アニメが放送されることは知っていた。しかし、プロレス中継に連結する形で放送されるとは知らなかった。この編成であれば、アニメファンがプロレスを、プロレスファンがアニメを見る機会が増えるだろう。
「アニメとプロレスの内容が連動することはありますか?」。私は編成担当者に率直に質問した。「完全に連動します」。答えにはわざわざ「完全」という2文字が付け加えられた。アニメには新日の棚橋弘至やオカダ・カズチカが実名キャラクターとして登場することは周知の事実だ。それだけなら「完全」と言う必要はない。「新日のリングにアニメのキャラクターが登場するということですか?」という問いは「お楽しみに」とかわされたが、「完全」と言うのは、きっと、そういう意味に違いない。
初代タイガーマスクを初めて見たのは今から35年以上前の1981年4月23日だった。ダイナマイト・キッドが待つリングに上り、名前をコールされても観客の反応は薄く、その時のマスクが安っぽかったこともあって失笑さえ漏れた。ところが、ゴングが鳴ると、状況は一変した。軽快なサイドステップ、威力がありそうな後ろ回し蹴り、俊敏なキッドを上回るスピード。観客はどよめき、いつしか熱い拍手を送っていた。最後はキッドのトップロープ越しブレーンバスターをかわしての高角度ジャーマンスープレックスホールド。辛口の解説者・山本小鉄氏も「今までにない試合」とたたえ、実況の古舘伊知郎氏は「センセーショナル!」と叫んだ。アントニオ猪木とともに金曜ゴールデンタイムのプロレス中継を支えたのは間違いなく初代タイガーマスク、佐山聡だった。
新タイガーには、あの日の衝撃を期待する。今のプロレス界、もしくは格闘技界で佐山聡を上回るような逸材は…!?(専門委員)
◆牧 元一(まき・もとかず)編集局文化社会部。放送担当、AKB担当。プロレスと格闘技のファンで、アントニオ猪木信者。ビートルズで音楽に目覚め、オフコースでアコースティックギターにはまった。太宰治、村上春樹からの影響が強い。