中村橋之助密会騒動 3人の息子たちは父の過ちを“芸の肥やし”に
2016年09月24日 13:25
芸能
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個人的に気になっているのは、三男の宜生だ。もう子ども扱いしては失礼な年齢だが、2009年秋、まだ8歳だったころに歌舞伎座の楽屋で取材をしたときの姿が頭に残っているからだ。
同年12月、人間国宝だった先代の中村芝翫さん(当時81歳)が、歌舞伎座公演での舞踊「雪傾城(ゆきけいせい)」で、孫6人と共演することになった。“一族”のみでひと演目を踊るのは戦後初めてだった。そこで、直系の孫3人を訪ねた。
国生は13歳、宗生は12歳だった。3人とも緊張していた。「孫6人で、おじいさんと同じ舞台に立つのはどんな気持ちですか?」と質問したように記憶している。国生、宗生は何とか答えられたが、宜生は恥ずかしがって「えーと、あ…」と言葉にならなかった。顔を赤くして、下を向いてモジモジしている姿をいまでも思い出す。
すかさず国生が助け船をだした。どこかの料亭の女将のように(こちらの方が後年の出来事だが)、何と答えればいいか宜生に耳打ちした。いい兄弟だな、と温かい気持ちになったのを覚えている。楽屋には三田もおり、3人の後ろで「まったくこの子たちったら」とでも言いたいような表情で、笑っていた。
今回の謝罪会見で橋之助は「“女遊びは芸の肥やし”か?」と聞かれると「私ども夫婦間の中では、そういう認識はない」と返答した。3人の息子はこの会見の記事を読んだり、映像を見たりしたのだろうか。3人にとっても、自分たちの襲名を前に巻き起こった大荒波。この騒動を“芸の肥やし”に、歌舞伎役者として新たな一歩を踏み出してくれることを願ってやまない。(記者コラム)