「真田丸」井上順“異質”織田有楽斎を飄々好演「平和に終われば…」
2016年10月29日 08:00
芸能
世間一般に知られる有楽斎は、織田信長の弟でありながらも文化人としての側面が強く、これまでの時代劇でも大きく取り上げられる機会は少なかった。それだけに井上自身も「僕もお市(織田信長の妹)くらいまでは知っているんですがね…」と当初は役柄の解釈も未知数だったという。「有楽斎(“ウラ”くさい)って聞いて…じゃあ表(オモテ)はどうなんだってね」と思わず冗談までこぼれた。
それでも人物像にイメージを膨らませていく中で独特の個性が浮かび上がってくる。「有楽斎は僕からしてみたら、なかなかの人物で、物語全体の中でもちょっと違った色の人間として出てきます。(役として)良いポジションに置いてくれたんだなということで、とってもうれしかったです」と難役ながら出演を喜んだ。
最も意識しているのは、お市の子で姪に当たる“浅井家三姉妹”の存在。豊臣秀頼(中川大志)の母で長女の茶々(淀、竹内結子)、大坂冬の陣で後に和睦交渉に当たる次女の初(はいだしょうこ)、徳川秀忠(星野源)の正室で三女の江(新妻聖子)らの存在を常に意識していた。
「織田信長が死んでしまって、お姉さんのお市も自害しなくてはいけなくなって…残ったのが茶々、初、江という3人の姪っ子ですよね。ですから有楽斎にとってみると、姪っ子というのはかわいくてしょうがないと思うんですよ」
「これから豊臣と徳川の小競り合いがあるわけですけれど、平和であってほしい。(姪の)みんな元気で健やかに過ごしてほしい…。まだ豊臣家と徳川家がある中で、何とか平和に過ごせるようにという思いの中に有楽斎はいるわけです」と心境を思いやった。
だからこそ単純に“対徳川”や“対豊臣”で盛り上がる武将たちとは違った表情ものぞかせる。「見た目はとっても良いんですよ。ニコニコしていてね。でも何かがあると眼光鋭くストレートにバンッと行くというようなお芝居なんかをやったりしているのかな」と自身の演技につながっていく。
「見ている人には、何と言いますか『この人何者なのだろう』とか、『それでいいのかな』とか。そんなふうな感じで見ていただきながらも『あ、なるほど。この人はこういう風に思って茶々の傍にいて、秀頼の傍にいるのか…』というのが物語の流れの中で分かっていただければと思います」と自ら見どころを解説した。
“井上流”有楽斎の思いはただ一つ。「平和に終わればいいなというのが、有楽斎の一番の願いだと思うんです。だから、それを心に秘めながら演じているというのかな、そういうふうにやっています」。第43話「軍議」(30日放送)では、打倒徳川に向けて大坂城内でも様々な思惑がぶつかり合う。その中でも“異質”な武将・有楽斎の動向から目が離せない。