美輪明宏さん、トランプ氏の当選を予想していた!クリントン氏の敗因も
2016年11月15日 08:00
芸能
その時は、米国の大手新聞やテレビ、もちろん、日本の識者、コメンテーターも接戦とは言え、ヒラリー・クリントン氏が当選すると思い込んでいた。“隠れトランプ”がここまで存在していたなど誰も想像していなかった。私も同じ。だから、あえて「では、勝者はどっちですか」と聞くことすらしなかった。ところが、美輪さんの言葉通り、「何が起きても不思議じゃない世の中」だったのだ。選挙結果が出た当日夕、電話をいただいた。思わず私が「ご存じだったんですか」と尋ねると、「あらっ、そうねえ、フフフ」と受話器の向こうでいつもの笑い声がした。
政治、経済、事件など、どんなことでも鋭い洞察力と豊富な知識でお見通しの人。何かことあるたびに「それってスピリチュアルな力なんですか」と安易に聞く私に、必ず「ありとあらゆる情報を集めて冷静に分析すれば、おのずと答えは出るのです。歴史から学ぶことも大切。物事は目先のことばかりにとらわれず、時には俯瞰視すると見えてくることもあります」と話す。
そう言えば、もう一つ、美輪さんが話していたことで気になることがある。それは「これからはカオス(混沌)の時代になる」。トランプ旋風を機に、来年、大統領選を控えるフランス、さらにイタリア、ドイツでも自国優先の内向きな考えが広がる可能性があるという。我々が絶対に忘れてはならないのは、大恐慌も世界大戦も各国が極端に右傾化に走ったことで招いた悲劇ということだ。「たとえ予期せぬ事態が起きても決して感情的にならず、クールに理性を働かせて対処すること」。これも美輪さんの言葉。改めて胸に刻んで生きて行く時代になったようだ。(専門委員)
◆川田 一美津(かわだ・かずみつ)立大卒、日大大学院修士課程修了。1986年入社。歌舞伎俳優中村勘三郎さんの「十八代勘三郎」(小学館刊)の企画構成を手がけた。「平成の水戸黄門」こと元衆院副議長、通産大臣の渡部恒三氏の「耳障りなことを言う勇気」(青志社刊)をプロデュース。現在は、本紙社会面の「美輪の色メガネ」(毎月第1週目土曜日)を担当。美輪明宏の取材はすでに10年以上続いている。