「逃げ恥」ヒットの要因は“じれったさ”穏やかな表現に共感
2016年12月21日 11:00
芸能
データニュース社(東京)が行っているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(対象3000人)に寄せられた視聴者の感想からは「じれったい2人。不器用さが楽しいけど」(41歳・女性)「やっと心が通い合ったというのに、なかなかうまくいかないジレンマが面白かった」(52歳・女性)など、視聴者はすれ違うことにイラ立ちを感じているのではなく、応援しつつ楽しんでいることがうかがえる。
なぜ、腹を立てずに微笑ましく見られるのか。1つは現実逃避しながらも自分の居場所を探し続ける妄想女子と、年齢=彼女いない歴のプロの独身男性という、一番縁遠そうな2人が、パズルを組み合わせるように分かり合えていく過程を丁寧に描いていることが挙げられる。
その象徴がみくり、平匡それぞれのモノローグ(語り)。「自分の思いと人が思っていることは違っていて、だから気持ちのすれ違いが起こるんだなって思わせられる」(57歳・女性)など、すれ違いで起こる互いの摩擦ではなく、すれ違う部分を自分の中で咀嚼(そしゃく)し、納得していく。静かに、ゆっくり、時々雑音が入りながらも確実に…。2人の気持ちが交わっていくドラマの肝をモノローグが担っていた。
「テレビウォッチャー」の視聴者満足度調査では、平匡がみくりにキスをした第6話で記録した4・43(5段階評価)は、今年放送されたプライムタイム放送のドラマで最高の数値(単回計算)を記録。最近のドラマに対し、視聴者は刺激や予想もできない展開を期待する傾向にあるが、穏やかさという逆方向のベクトルが共感を呼んだことに、2017年のドラマ作りのヒントがあるのかもしれない。