東京五輪サーフィン会場で思う…大会成功へ「県民ファースト」も考えて
2017年01月04日 10:30
芸能
一宮町だけでなく、周辺の自治体は、経済効果も期待している。隣接するいすみ市の土産店の女性従業員は「五輪に向けて、店のみんなで英語の勉強を始めようと思っている」。館山市の旅館の女性従業員は「外国人向けの食事メニューにも着手しています」と教えてくれた。
幼い頃、毎夏、家族で一宮町を訪れ、海水浴やカレイ釣りを楽しんだ記者も「この町での五輪も成功してくれれば」と願ったが、会場や交通インフラ、宿泊施設などの整備や財政負担の問題が頭をよぎった。
昨年12月、国際オリンピック委員会(IOC)理事会が大会組織委員会の一宮町とする会場案を承認。千葉県の森田健作知事は「外房、九十九里を何とか盛り上げたいと思っていた。地元のみなさんの熱意が伝わった」とした上で「五輪が終わったら“さよなら”では困る」と指摘。五輪後を見据えたサーフィン関連の恒久的な施設の整備に意欲を示したのだ。
しかし、森田知事は「財政的にもできることとできないことがある」とも述べた。一宮町の当初予算は約42億円で、同町の馬淵昌也町長も「今後、県や国、組織委員会としっかり協議していきたい」としつつ「もし町に多大な財政負担をしろと言われても、ない袖は振れません」としていた。
今後は開催費用の分担を巡り、県や町などの地元自治体と、大会組織委員会や都などとの駆け引きが本格化する。「アスリートファースト」「都民ファースト」という言葉が盛んに飛び交っているが、「県民」「町民」のことも、しっかりと考慮し、ぜひ大会を成功に導いてほしい。