阿部寛 “理系脳”で導き出す役者人生の公式 年月重ねた“足し算”の美学
2017年01月24日 11:00
芸能
数年前からはまっていたのが、レーザーで距離を測る測定器。自宅を建てる時のために天井の高さや間取りなどの参考にしようと持ち歩き、撮影などで気になる建造物を見つければ測定。「明治時代に建った建物とかは空間をよく生かしてる。“このくらいだとこうなるのか”と自分なりに考えてました」。15年の主演ドラマ「下町ロケット」の撮影で使った工場にも萌えた。「工場は凄く好き。何十年も働いてきた機械を美しいと思うんです」。使い込み、年月を重ねた“足し算”の中に美学を見いだす。
理系の思考は仕事でも生かされる。出演作が立て続く中、セリフ覚えは時間と効率を重視。「“いつまでにここまで覚えよう”と計画を立てて、計算しながらやります」。覚えるのはたいてい入浴中。「空間として閉じ込められて余計なことを考えない。ここまでやらないと今日は出られないと決めて、拷問みたいな状況にします」。さながら、受験勉強で数学の問題に向き合った時のように自分を追い込む。
役づくりでも計算が一役買う。主演映画「恋妻家宮本」(28日公開)では、普段はやらない料理のシーンの撮影に向け「カメラの動きを計算しながら、包丁さばきとか全て段取りを決めました」。
◆阿部 寛(あべ・ひろし)1964年(昭39)6月22日、神奈川県出身の52歳。83年に「ノンノボーイフレンド大賞」で優勝し、雑誌「メンズノンノ」の創刊から3年半表紙を飾る。87年に映画「はいからさんが通る」で俳優デビュー。93年のつかこうへい氏の舞台「熱海殺人事件」で評価され、テレビ朝日のドラマ「トリック」シリーズがヒット。08年「歩いても 歩いても」「青い鳥」で毎日映画コンクール男優主演賞、12年「テルマエ・ロマエ」などでブルーリボン賞主演男優賞を受賞。来年公開の日中合作映画「空海 KU―KAI」にも出演。1メートル89、75キロ。血液型A。