「相棒−劇場版4」ヒロイン抜擢の山口まゆ “お気楽両親”と水谷豊に支えられて
2017年02月10日 15:32
芸能
「撮影前日は家の中で台本を何度も読み込んでセリフをブツブツと呟いたり、極度の緊張状態。パニック寸前でした。頭を整理しながら現場に入るのが精いっぱいだった」。忘れられないのが、水谷豊(64)と対峙するシーン。「芝居を超えて、本当に自分の弱みを射抜かれたような気がして、一瞬にして圧倒されました。一生懸命研究してカッコよく持てるようになった銃も、あっという間に取り上げられた」。キャリアが違うとはいえ、対役者としては勝負にならなかった。
テレビドラマ「コウノドリ」(TBS、2015)での妊婦役の熱演がインターネット上を中心に大きな反響を呼び注目されたが、ここでさらに一段高い世界を見た。そんな極度の緊張状態が続く日々の支えとなったのは家族の存在だ。「お母さんは水谷さんが主演した『熱中時代』の大ファン。『会いたい、会いたい』と言っていました。お父さんは私が練習用に家に持って帰った銃に興味津々で、“持ってんの?貸して”“重いね”なんて喜んでいました」。
話だけ聞けば、お気楽な両親の姿が浮かぶが、娘はちゃんとその思いやりをわかっている。「両親は自分たちが私に何かを言う事によって、それがプレッシャーになると理解していたと思います。いざ撮影が始まっても、あえて触れないでそっとしてくれた。休憩中も母親にLINEをすると仕事の話ではなく学校の話をしてくれる。そんな普通の会話が緊張の中で私を現実に引き戻す、いい息抜きになった」。
初共演の水谷の気遣いも忘れられない。撮影の待ち時間に「“学校はどこに通っているの?”とか“進学はどうするの?”など世間話で私の緊張をほぐしてくれて、ドラマからのスタッフ・キャストの皆さんの輪に入れてもらえた」。大先輩から声をかけてもらうほど、ホッとすることはない。
16歳の少女は恵まれた環境の中で大役を果たした。何が変わったのか。「自分の知らない自分が見られた気がするし、成長も感じています。芝居について考えて研究するのは楽しい。次の作品ではもっと役を突き詰めて、人の心を動かす女優になりたい」。前を向いてはっきり。覚悟は決まった。
初詣のおみくじは大吉。「今年は運がいいと信じて、この調子で頑張っていきたい」。大吉は追い風が吹いているという意味。風に乗るか、そしてさらに羽ばたくか。つかんだチャンスをものにしたい、2017年の山口まゆである。(石井隼人)