栗原英雄「真田丸」で役者道に覚悟 新たな挑戦へ09年四季退団「後悔ない」
2017年03月03日 09:00
芸能
信之と信尹による説得は失敗。信尹は右手で幸村のほほを触り「生きたいように生きればよい」と別れを告げた。
「堺さん、大泉さんとの関係も深まり、1年2カ月の撮影の終着点。『ああ、終わるんだ』と感慨深かったですね。信尹はただでさえ寡黙で、自分の気持ちを表に出さない人間。それでも、どこか人間くさい部分がある、信尹の心情が垣間見えるところが1箇所欲しいと思い、後半ずっと言い続けていました。それが最後に信繁(幸村)のほっぺをペチペチしたところ。ほっぺをペチペチするのは、草笛(光子)さん(とり=昌幸・信尹の母、信之・幸村の祖母)が息子の草刈さんにして(第2話「決断」)以来、真田家の伝統。信繁とは、これが今生の別れになることは分かっているんですよね。でも、信繁の決断は尊重してやろうと。そこで信尹も自分の内面を出すわけです。以前、調略の現場に立ち会わせて『源次郎(幸村)、お主、ワシのようになりたいと、いつぞや申しておったな。これだけは言っておく。ワシのようにはなるな』(第8回「調略」)と言った信尹ですが、信繁に対しては愛情があって、信繁の気持ちが分かるからこそ、人間くささを出して別れのあいさつをしたんだと思います」
「真田丸」から得た大切なものは「視聴者の皆さんの応援をダイレクトに感じたこと」。栗原もツイッターを始め、SNS上で反響を呼び続けた「真田丸」ならではかもしれない。
「そうか、自分は生かされているんだなと。もちろん舞台をやっている時も観客の皆さんに生かされていると感じていますが、『真田丸』は北海道から沖縄、海外の方までがご覧になり、応援していただきました。これは、今まで以上に肝を据えて役者道を歩まなきゃいけないと思いました」
高校時代に演劇部に入り、芝居の道へ。その前から「自分の脳みそ、心、体を道具とした生業をしたかった」と思っていたところ、ジェームズ・ディーン、若きアル・パチーノ(76)やロバート・デ・ニーロ(73)の映画に出会った。
「誰しも『こんな気持ち、誰にも分からないもらえない』と反抗期があるじゃないですか。それが、彼らはスクリーンの向こうで葛藤しながら生きている。『彼らは自分の気持ちを分かってくれている』みたいなシンパシーを感じて、彼らの経歴を調べてみたら、みんなニューヨークのアクターズ・スタジオで演劇を学んでいる。よし、自分も舞台をやって力を付けようと思ったんです」
劇団四季時代は「コーラスライン」「ライオンキング」「マンマ・ミーア!」「ウィキッド」「エクウス」「ヴェニスの商人」「ブラックコメディ」など数々の作品に出演。しかし「新たなチャレンジをしたい」という気持ちが強くなり、09年に退団。
「それ(新たなチャレンジ)は一番思っていましたね。ただ、いろいろなタイミングが重なって、そう(退団)なったんですが。振り返ると?決断は間違っていないです。僕、今まで後悔したことは一度もありません。自分が選択したわけですからね」
今後も「いろいろなものに、まだまだ挑戦していきたいですよね。挑戦しかありません。ミュージカルのオファーが多いと思いますが、これを機にストレートプレイの比率をもっと増やしていければ。舞台とテレビもバランスよくやっていければ」と展望。「真田丸」、今回の「不信」を経て、チャレンジの日々は続く。