中居正広の侍歓戦記 勝つごとにチームになっていく感じがした
2017年03月16日 09:20
芸能
初先発だった千賀投手の投球は見事でしたが、やっぱり小林選手が嫌な顔一つせずにフォークを体を張って止める姿が良かったですよね。1点もやれない展開で、後逸するリスクがある球をどんどん要求していた。1球も後ろにそらさず、全部止めましたからね。ボールに食らいついて捕りに行っていた。ひたむきな姿勢がいいんですよね。投手が安心して投げられたと思います。
打つ方でもラッキーボーイでしたね。最初は「バントをしっかり決められるように」なんてコメントしていたのに。やっぱり打撃で活躍していたからメンタル面で自信を持てて、フォークのサインを出せたと思いますね。小林選手にとっては、野球人としても人間としても成長している大会だと思います。
今回は合宿から本戦まで時間は限られていました。内川選手が「短期間でチームをつくる、組織をつくる難しさを改めて感じた」と言ってました。過去3大会も、最初からチームは一丸になっていなかったと思うんですよ。試合をやるごとに、喜怒哀楽をともにするたびに、チームになっていくというか。ベンチの横にいて、今回のチームは毎試合、勝っていく中でどんどんチームになっている感じがしました。
打線は毎試合、日替わりヒーローが出ました。誰かが打てないと、他の誰かが打ってカバーする。稲葉コーチも「巡り合わせがすごくいい具合に回っている」と話していました。オランダ戦は延長11回からタイブレークでしたけど、守備固めで4番に入っていた鈴木選手がバントを決めて中田選手が決勝打。あの場面、筒香選手が4番にいたらバントはなかったと思うんです。これも巡り合わせですね。
筒香選手と中田選手の関係も面白い。今大会は、筒香選手が打った直後に中田選手は一本もヒットがない。逆に筒香選手が凡退したら、中田選手がものすごく打っているんです。中田選手は「僕の前であいつは空気を読まずに打つからなあ」なんて話していましたけど「気持ちをすごく揺さぶられる選手。刺激をもらうし意識もする。味方でそういう選手はなかなかいないです」と。筒香選手が打つと、自然と高ぶっていたんでしょうね。
イスラエル戦は中田選手が欠場しましたけど、そんな中で筒香選手が今大会3本目の一発。2人はホームランの数も同じでした。さすが4番ですね。頼もしいです。
小久保監督も凄かった。14日のキューバ戦、5―5の8回に小林選手の場面で代打・内川選手。2安打の選手に代打を出して失敗したら、小林選手をそのまま打たせれば良かったと言われるかもしれない。ギャンブル的な起用だと思いますけど、結果、犠牲フライで点が入って勝っていますから。さすが内川選手。前の打席で小林選手がタイムリーを打っていましたから、僕は代打はないかなあと思っていました。
準決勝からは環境がガラッと変わります。これまで東京ドームで大勢のファンの前で試合ができて、屋根があって風もなかった。でも向こうに行けば屋外になって、芝も変わる。そして、いきなりドジャースタジアム。メジャーで有名な選手を見て「おっ、○○選手だ」って思いますよね。いろいろな面で切り替えが大事になると思います。
キーマンは向こうの環境を知っている青木選手じゃないかな。プレー以外の部分でも伝えられることは大きいですから。残り2試合、侍魂で全勝優勝を目指して頑張ってほしいです。 (侍ジャパン公認サポートキャプテン・中居 正広)
◆中居 正広(なかい・まさひろ)1972年(昭47)8月18日、神奈川県藤沢市生まれの44歳。86年、14歳でジャニーズ事務所入り。88年にSMAPのメンバーとなり、91年にデビュー。俳優としての主演ドラマに「味いちもんめ」「砂の器」「ATARU」など。NHK紅白歌合戦の司会を計6回担当。野球好きは父親の影響で、少年野球チームでプレーした。小3時に初めてプロ野球を生観戦。本塁打を打った若松勉を見て「体が小さくてもプロになれる」と勇気づけられた。