能町みね子氏 こんなドラマが…稀勢は貴乃花を超えてしまったかも

2017年03月27日 08:30

芸能

能町みね子氏 こんなドラマが…稀勢は貴乃花を超えてしまったかも
能町みね子氏 Photo By スポニチ
 大相撲春場所で、左肩を負傷しながら千秋楽に奇跡の逆転優勝を果たした新横綱・稀勢の里(30)。日本中から祝福の声が上がっているが、コラムニストで相撲愛好家の能町みね子さん(38)もスポニチ本紙に特別寄稿し、「相撲史に残る場所になりました」と稀勢の里と、激闘を繰り広げたすべての力士を称賛した。
 私は基本的には重傷をおしての強行出場には反対の立場だ。小泉元首相の「感動した!」で有名になった貴乃花の優勝も、確かに衝撃的だったし、うれしかったが、あれをもって貴乃花の力士生命がほぼついえてしまったことを考えると私は手放しで「感動した」とは言えない。だから、今回の稀勢の里の出場についても大反対の立場だった。稀勢の里には丈夫な体で長く相撲を取ってほしい。

 ただ、そういった私の「常識的」な思いをぶちやぶってしまうことが起こるから大相撲は面白いのだとも言える。そこには大いに矛盾があるが、矛盾があっていいのだ。

 今回の稀勢の里の優勝はあの時の貴乃花の状況とあまりにも似ている。

 貴乃花は14日目に負傷し、千秋楽に強行出場、本割で武蔵丸にあっけなく負けて観客は心配したが、優勝決定戦で鬼の形相で優勝し、観客の度肝を抜いた。

 稀勢の里は13日目に負傷し、14日目から強行出場したがその日は鶴竜にあっけなく負ける。ファンが心配していたところ、千秋楽に本割、決定戦と2連勝、ファンは驚愕(きょうがく)した。この経緯を見ると、稀勢の里は貴乃花を超えてしまったかもしれない。

 あのとき貴乃花の引き立て役となった武蔵丸は1年以上後にそのリベンジを見事に果たした。今回完全に引き立て役となってしまった照ノ富士はそういうことができるだろうか?それも楽しみだ。

 ともかくおめでとうございました。大関までは寡黙で何を考えてるか分からず「肝心の所で弱い」などと言われていたが、こんなとんでもないドラマを作ってくれるようになるなんて、夢のようにうれしいです。今場所は相撲史に残る場所になりました。新横綱と、新横綱に向かっていったすべての力士に感謝です。 (コラムニスト)
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