日本の漫画や戦隊モノがハリウッドで大人気。その裏には?
2017年05月27日 09:10
芸能
今年4月7日には「ゴースト・イン・ザ・シェル」が日本で公開され、興行収入12億円を突破するヒットを記録。言うまでもなく、士郎正宗氏(55)の「攻殻機動隊」の実写映画版だ。スカーレット・ヨハンソン(32)が主演し、マイケル・ピット(36)やジュリエット・ビノシュ(53)ら豪華な面々が脇を固め、ビートたけし(70)も出演した。
そして7月15日には「パワーレンジャー」が封切られる。日本のスーパー戦隊の英語ローカライズ版として1993年から全米で放送がスタートしたテレビシリーズを、南アフリカ出身のディーン・イズラライト監督が総製作費120億円を投じて映画化。レッド、ピンク、ブルー、イエロー、ブラックの5戦士が地球征服を企む悪の戦士を相手に戦う姿を描いた。
米国では3月24日に初日を迎え、オープニング週に興収4030万ドルを記録。1週間前に公開された「美女と野獣」に次ぐ2位を獲得し、その後も堅実に観客を動員して現在までに興収8500万ドルを突破している。
その勢いを日本にも持ち込めるか注目だが、クライマックスの戦闘シーンに行くまでのドラマ部分がことのほか手厚く描かれている点が少々気にならなくもない。大人は平気でも、子供たちがくたびれてしまわないか…。上映時間2時間強。本場の日本ではテレビの30分枠に慣れてしまっているファンがほとんどだろう。日本だけでも短縮版を上映した方がいいかもしれないが、時間的にもう無理だろう。
映像は迫力十分。日本語吹き替え版の声優も豪華だ。レッドレンジャーに勝地涼(30)、ピンクレンジャーに広瀬アリス(22)、新米レンジャーをサポートするおしゃべりロボット「アルファ5」に南海キャンディーズの山里亮太(40)、さらには先代レッド「ゾードン」に古田新太(51)の参戦が“新たに”決まった。吹き替え版も楽しさいっぱいだ。
ハリウッドではディズニーアニメの実写版も花盛り。日本でも大ヒット中の「美女と野獣」に続き、「ピノキオ」「ティンカー・ベル」「人魚姫」「ムーラン」「眠れる森の美女」、さらには「101匹わんちゃん」に出てくる悪女クルエラを主人公にした作品などが2018年以降に出てくる予定だ。
かつてはアニメでなければ表現できなかったものが映像技術の格段の進歩で実写で可能になったことが大きいが、一方には「ハリウッドのアイデア枯渇」という側面があるのかもしれない。日本の漫画やアニメも含めて、今後こうした流れが一層激しくなりそうだ。 (編集委員)
◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。