泣き声より歌を――被害者の母がアリアナに勇気 英テロ翌日にマンチェスターで慈善公演

2017年06月06日 05:30

芸能

泣き声より歌を――被害者の母がアリアナに勇気 英テロ翌日にマンチェスターで慈善公演
マンチェスターで行われたアリアナ・グランデらが出演した慈善公演(AP) Photo By AP
 米人気歌手アリアナ・グランデ(23)が4日(日本時間5日)、先月22日に自爆テロ事件が起きた英マンチェスターでチャリティーコンサートを行った。フェイスブックに「憎悪に勝利させない」と投稿し、コンサートの開催に強い意欲を示していたアリアナ。前日の3日にロンドンでテロが起き、厳重な警備態勢が敷かれる中、ステージをやり遂げた。
 テロ犠牲者の家族ら約1万4000人を招待し、会場のオールド・トラッフォード・クリケット場には5万人の観客が集まった。アリアナは「この会場は愛に満ちている。皆さん、強く、一つになってくれてありがとう」と述べ、「ビー・オールライト」などのヒット曲を熱唱。感極まって涙する場面もあった。

 自爆テロはコンサートの終了直後に発生し、8歳の女児を含む22人が死亡、59人が重軽傷を負った。共同電によると、アリアナはテロで犠牲になった女性の母親と面会したエピソードを紹介。涙を流すアリアナに母親から「娘はあなたの泣き声ではなくヒット曲を聴きたいと思っているでしょう」と伝えられたことを明かした。

 公演には英ロックバンド「コールドプレイ」、カナダ出身の歌手ジャスティン・ビーバーらが参加。チケットの売り上げなど10億円以上の収益は全額が被害者支援のため寄付された。

 5月のコンサートは屋内施設のマンチェスター・アリーナで行ったが、この日は屋外スタジアム。前日にロンドン中心部で7人が殺害されるテロが起きたばかり。この日、駅から会場までの道中、武装警察官が警戒に当たる厳重な警備態勢が敷かれた。前回、持ち物検査が行われていなかったことに批判の声が上がっていたため、この日は入場者全員の持ち物検査が行われ、来場者には事前にカバンなどの手荷物をなるべく持ってこないようアナウンスされていた。

 欧州では車やナイフといった誰もが容易に入手できるものがテロの凶器に使われるようになってきた。専門家は「集団ではなく個人がテロを起こす時代。事前に防ぐのは難しい」と指摘。テロ対策などで過去最大規模の警備対策を敷く2020年東京五輪・パラリンピックに向けて「この日のような警備、警戒は参考になる」と話した。

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