鈴木砂羽の女優降板騒動で再考 演出家の“厳しい指導”はパワハラか
2017年09月20日 10:00
芸能
感想から言えば、物語そのものは楽しめた。急きょ出演した代役のKUMIさんも違和感なく演じていた。一時は初日の幕が開けられるかどうかという事態にも陥っただけに、鈴木はカーテンコールで「本当にKUMIさんありがとう」とねぎらっていた。
今回の騒動は、稽古場で起きたいざこざがきっかけ。稽古の終了時間の食い違い、思い込みが発端だった。女優側は鈴木が罵声を浴びせ、劇団の主宰者や女優に土下座謝罪をさせたといい、鈴木はこれを否定している。何が真実なのかは、その場に居合わせた人にしか分からない。1つの事象の受け止め方は個々で違うから、どちらが正しいかも分からない。記者個人としては、鈴木からすれば「少し言い過ぎたのかな」という指導内容が、女優側が「パワハラ」と受け止めたのではないかと思っている。
鈴木の人柄をドラマや映画関係者に聞くと、「男っぽくてサバサバしている」「言いたいことはハッキリと言うタイプ」などという声が圧倒的に多かった。鈴木は劇団「文学座」で演技をたたき込まれた女優。初めての演出を手掛ける舞台となると、この性格だから特に熱が入ってビシバシと指導してしまうだろう。一方で、指導された側が「そこまで言われなきゃなんないの?」と思ってしまうのも分かる。
ある舞台関係者は「蜷川幸雄さんの指導もパワハラだと言う人もいるのかね」と言っていた。“灰皿投げ”など稽古場での厳しい顔で知られた蜷川さん。ただ、その指導があって多くの俳優が成長した。蜷川さんは天国でこの騒動をどう見ているのだろうか。(記者コラム)