大物スターの会見を違う意味で楽しんじゃった!
2017年10月29日 09:00
芸能
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(50)に加え、アナ・デ・アルマス(29)とジルヴィア・フークス(34)の女優陣が同席したが、ハリソンは75歳には見えない若々しさで、さすがの貫録だった。
リドリー・スコット監督(79)がメガホンを取り、82年に発表した「ブレードランナー」の舞台は2019年の世界だった。作品の評価は高く、「SF映画の金字塔」と称えられているが、タイトルからも分かるように、その30年後を描いのが今作だ。
レプリカント(人造人間)を取り締まる捜査官を引退したデッカードを演じたハリソンは冒頭、「最初の作品の反響が日本で良かった。また楽しんでいただけることをうれしく思う」と笑顔であいさつした。
進行役からの2、3の質問を経て報道陣との質疑応答となったが、2番目に指名された民放キー局の女性リポーターが問いかけたのが「時間があったらどこに行きたいか?」という、料理で言うなら“箸休め”のようなゆる〜いクエスチョン。内心どう思ったかは分からないが、そこは大スター。「京都にも5度行っているし、今度は車で地方をぐるぐる回りたい」と、紳士的に答えた。
次に指名されたのも民放キー局の男性アナウンサー。劇中のハリソンをまねたファッションに身を包んでおり、「似合ってますか?」と尋ねる始末。ハリソンも苦笑いするしかなかった。
登場からフォトセッションまでわずか45分しかない会見。個別取材も厳しく制限されたと聞く。開かれた会見の場では何を尋ねても構わないと思うが、映画の中身から離れた質問が続けば登壇者に失礼になる。進行役にせっかく当ててもらったのだから「行きたいところ」や“みてくれ”を聞くくらいなら、ハリウッドに激震を走らせているハーベイ・ワインスタイン氏(65)のセクハラ疑惑について聞いた方がましだったような気がした。「ノーコメント」だったかもしれないが…。
総選挙翌日の会見。さしものハリソンの会見でもワイドショーや情報番組が割ける時間はほんのわずかだろう。いや扱えない可能性だってある。そんな状況を考慮し、ひょっとしたら「少しでも扱う」という密約が映画会社とテレビ局の間にあったのかもしれない。「質問の中身についてはあえて問わないから」と…。何ともミステリアス。次第にそんなことを考え始め、意外や会見を楽しんでいる自分がいた。
さて、登壇した2人の女優はどちらも美しかったが、とりわけキューバ出身のアナに魅了された。「19歳の時にスパニッシュ映画祭で来日して以来2度目」だそうだが、日本でも人気が出そうな気がする。この名前、忘れないようにしよう。これも収穫だった。(編集委員)
◆佐藤 雅昭(さとう・まさあき)北海道生まれ。1983年スポニチ入社。長く映画を担当。