羽生永世7冠の“引き立て役”になった渡辺棋王 困難の一つは同世代の好敵手不在
2017年12月10日 10:30
芸能
不調の原因を探ることは難しいが、渡辺にとって困難の一つに、同世代に好敵手がいないことが挙げられる。将棋のタイトル獲得経験者を年齢順に並べると、1984年生まれの渡辺の下は、87年生まれの広瀬章人八段(30=元王位)。渡辺の上は8年もブランクを挟み、75年生まれの久保利明王将(42)になる。本来目標となるべきすぐ上の世代が壁となれていないことは、今思えば渡辺にとっての不幸なのかもしれない。
合理的な考え方や一見ぶっきらぼうな表情からともすればヒールのように見られがちだが、めぐみ夫人の描く漫画「将棋の渡辺くん」に登場する主人公は強さも弱さも併せ持つ、ごく普通の感覚を持つ若者だ。若い棋士が台頭してきた今、タイトル保持者には失礼な表現と承知ながら、あえて“復活”を待ちたい。(記者コラム)