藤井四段が“金星”、イベント対局で久保王将破る「大きな収穫」
2017年12月11日 05:30
芸能
将棋の「さばき」は攻め駒を無駄なく敵陣に進入させたり、相手の守備駒と交換すること。先手で中飛車に構えた久保は、中盤で角と飛車の大駒2枚を金銀3枚と交換する「さばきの極意」で、藤井の王を追い詰めた。
久保が先に相手の王が逃げられない必至を掛けたが、そこから藤井が反撃を開始。守備の馬の敵陣への利きも生かした切り返しで、鮮やかな逆転につなげた。藤井は「序中盤で力の差を感じた。でも一生懸命指したのが功を奏した」と振り返る。久保は「藤井さんの棋譜はほとんど見てきたが、実際に指さないと分からない。終盤に読みにない手を指され、力があると感じた」と強さを認めた。
久保は誰よりも早く藤井の才能に仰天した棋士の一人だ。約3年前、ペーパーテスト形式の「詰将棋解答選手権」を小学6年だった藤井と同室で受験。序盤に藤井が退室したため、トイレかと思ったら解答を終えており、そのまま藤井が優勝したという鉄板ネタを、この日のトークショーでも披露した。久保が感じた驚嘆は初対局での勝敗という形で表れた。
藤井が見せたのは強さだけではない。対局前のトークショーでは幼少期の写真がスクリーンに映され、約450人の観客から「可愛い〜」と声が上がり終始照れっ放し。北海道から前日入りし、朝6時から並んだという女性(55)は「強さと謙虚さ、無防備さのギャップが魅力的」と興奮が収まらなかった。
≪中学生で優勝の可能性、朝日杯オープン戦のみに≫藤井は10日放送のNHK杯テレビ将棋トーナメント3回戦で稲葉陽八段(29)と対局し、169手で敗れ8強入りを逃した。稲葉は今春の名人戦挑戦者で順位戦A級に在籍するトップ棋士。これで公式戦の通算成績は52勝9敗となり、中学卒業前に優勝の可能性が残るのは今月2次予選を控える朝日杯オープン戦のみとなった。