【俺の顔】光石研「まだまだ足りない」 引っ張りだこの名脇役、1年で16作出演
2017年12月17日 09:30
芸能
名脇役たちが本人役で出演した1月期のテレビ東京ドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」で、遠藤憲一(56)らとたわいないやりとりをする姿が女性視聴者に「かわいい」と映ったようだ。今年は同作を皮切りにドラマは11作に出演、公開された映画も5作に上る。
「同世代のみんなが健康で現役でやっているのが物凄くうれしかった。今年はみんなに刺激を受けて、仕事にまい進するいい年になりました」
「ひよっこ」では中華料理店の店主、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」では明智光秀を演じ、TBS「陸王」など話題作に引っ張りだこの一年。
「朝ドラの撮影が終わった次の日に大河の撮影が始まって、NHKにずっと行ってました。お話を頂くと“やりたい”と欲もかいてスケジュールが許す限りはやらせていただきます」
毎年20作品前後のオファーが絶えず、作品数と同じ数の人物を変幻自在に演じる。来年1月13日公開の映画「悪と仮面のルール」では、主人公(玉木宏)の依頼を受け、女性の身辺調査をするミステリアスな探偵役。「僕自身は電車に乗っていても何の違和感もないくらい個性がないのに、なぜかもの凄く個性のある役が多い。使ってくださる方が光石研をこうしたら面白いといろんな見方をしてくれるのがうれしいし、それが俳優の醍醐味(だいごみ)です」
映画「博多っ子純情」(78年)でデビューしてから来年40年。「びっくりしますよ。高校のサッカー部も1年で辞めた人が、俳優を40年も続けると思わなかったです」と笑う。
高校2年の時に友人とオーディションに応募し、思いがけず主役に抜てきされ始まった俳優人生。その時に感じた熱が、今でも原動力になっている。
「いい大人たちがささいなことでもみんなで夢中になってやる。あの現場がもの凄く楽しかったんです。映画好きで憧れてこの世界に入ったんじゃなくて、いきなり現場の面白さを教えられたから、それが俺の原点。あの楽しさを追い求める気持ちは、年を増すごとに強くなっています」
仕事が少なかった20代の頃。所属事務所の大先輩の緒形拳さんが「今、辛抱だぞ」と声を掛けてくれた。
「その言葉はもの凄く力になりました。この前、古谷一行さんとご一緒した時には、僕が30歳前後の時に現場で“本当に食えないんです”とか随分愚痴っていたらしくて、“おまえとこういう形で再会できてうれしい”と言ってくださった。小林稔侍さんも“頑張れよ”と言ってくださっていたし、励ましてくれた先輩方や僕を捨てずにいてくれた事務所の社長に恩返ししなきゃなと思っています」
10年前にタバコをやめたことをきっかけにマラソンを始め、2月には故郷の北九州マラソンに参加。5時間16分42秒の自己ベストで完走したが「走り終わって感動して泣いてる方は頑張ってるから泣くんだと思うんです。俺なんか涙も出なかった。泣くくらい頑張んないと駄目ですよね」と自分に厳しい。「今の俺は俳優としてもまだ頑張ってないと思うんです。人間性も含めてもっともっとスキルアップしていきたい。まだまだ全然足りないです」。「恩返し」となる飛躍を胸に誓い、俳優道をひた走る。
≪ハリウッドと「熱一緒」≫99年の米映画「シン・レッド・ライン」(監督テレンス・マリック)はオーディションを受け日本兵役で出演。97年にオーストラリアで行った撮影では、エイドリアン・ブロディ(44)ら共演のハリウッド俳優とも交流を深めた。「カメラの台数やスタッフの数とか物量は日本と全然違うけど、映画を撮るということに対するみんなの熱は一緒だと思いました」と懐かしそうに語った。
◆光石 研(みついし・けん)1961年(昭36)9月26日、福岡県出身の56歳。78年に映画「博多っ子純情」の主演でデビュー。2011年に映画「あぜ道のダンディ」で33年ぶりに主演。主な出演作は映画「Helpless」「ハッシュ!」、ドラマ「ハゲタカ」など。来年は映画「羊と鋼の森」、ドラマ「トドメの接吻」(日本テレビ)などに出演する。1メートル73。