福島を世界中から人が集まる場所に、ある果樹園の土への思い入れとは
2018年01月14日 10:00
芸能
「父親の跡を継いで30年間、土にこだわり、最高の果物を目指してきた」と加藤さん。栽培しているのはサクランボ、桃、リンゴで、ブランド名は「吟壌(GINJO)」。お酒の吟醸の「醸」ではなく、土壌の「壌」を使っているところに、土に対する大きな思い入れを感じる。
震災後、「果物の栽培だけでは何かあった際に困る」と感じ、思いついたのがシードルだった。紅玉やゴールデンデリシャス、フジなどリンゴの種類による味の違いは熟知しており「こんなふうに配合にしたら食事に合うお酒になる」と2014年に醸造を委託して試してみたところ、おいしいシードルに仕上がったという。
ところが、事業化を目指した翌15年、生産委託した醸造所にシードル生産のスキルがなく、腐敗臭がする失敗作が出来上がった。あきらめずに再挑戦し、昨年ようやく満足できるものが出来上がったという。
「イタリアの田舎に、キノコ料理だけを食べに世界中から人が集まる場所がある。うちもシードルや果物を飲食してもらえる場所をつくり、世界中から人が集まる場所にしたい」。お土産にもらったリンゴをかじりながら、加藤さんのたくましさを噛みしめた。