信越線立ち往生 判断は妥当だったのか…現場でしか分からないこと
2018年01月16日 10:30
芸能
だが、田園地帯で建物のほとんどない現場は暗くて雪が深く、道路と田んぼの境界がほとんど見えないような状況だったという。自己責任の個人ならともかく、公共交通機関であるバスやタクシーが責任を持って輸送できるかは、きわめて微妙といえる。
そもそも、電車の運行自体が無謀だったのではという指摘もある。電車は手前の東光寺駅から約300メートル進んだところで止まってしまった。せめて手前の駅で待機していれば、という声も乗客から出ていた。だが同駅と次の帯織駅はともに無人駅で、駅舎もごく簡素なもの。そこで待機したとしても、状況は大きく変わらなかったのではないか。
会見したJR東日本新潟支社の担当者は「常に安全は最優先だが、到着するのも使命。仮に遅れが出ても走らせたいとの思いもあった」と話し「除雪で何とかと思ったが、時間がかかった。今後の教訓にしないといけない」と反省を述べたという。とはいえ、北国では大雪は日常の光景。どこで運行不可能と判断するかは難しく、後から論じてもほぼ結果論になってしまう。
もちろん、今後は同様の事態は避けなければならず、どこかで落としどころが必要なのは分かる。しかし少なくとも、現場の事情に基づいた慎重な検証を行う前に、判断の是非を語るのは難しいだろう。
また、いつも都会の感覚、中央の感覚だけで物事を考えていると、時に本質を見誤ることがある。必ずしも現場にいることができず、想像力を求められる状況も多い記者としても、あらためて肝に銘じたいと感じた。(記者コラム)