菅田将暉 拳でつかんだ初タイトル、ボクサー演じ男優主演賞
2018年01月18日 05:30
芸能
![菅田将暉 拳でつかんだ初タイトル、ボクサー演じ男優主演賞](/entertainment/news/2018/01/18/jpeg/20180117s00041000327000p_view.jpg)
「岸(善幸)監督と“お互いの代表作にしよう”と話していたのでありがたいです」の言葉に実感がこもる。
前・後編で5時間を超える大作。「この時代に5時間の映画を受け入れてもらえたこともそうだし、映画は僕にとってのホーム。居場所にしたいところで評価していただいたことが本当にうれしい」と喜びをかみしめる。
寺山修司が1966年に発表した小説を2021年に設定を変えて映画化。少年院送致の過去もある新次(菅田)と吃音(きつおん)と対人恐怖症に悩む建二(ヤン・イクチュン)がボクシングと出合い、友情を育みながらやがて拳を合わせるまでを描いた。
半年かけて肉体改造に取り組んだ。ボクサーらしい体をつくるために減量ならぬ10キロの増量。「ただマッチョになればいいというものではないので、パンチを受けた時の腹筋や、打った時の肩の筋肉をつくるため、ひたすらサンドバッグを殴る日々でした」と振り返る。
「親にも捨てられ、友人にも裏切られ、金もない。人への怒りでしか自分の命を感じることができない男が、最初は怒りで殴っていたパンチを違うところに使っていくという流れには共感できた」
作品はテロ、高齢化社会、自殺サークルなど、近未来が抱える問題も盛り込み、そんな“荒野”で生きる人々を切なくもリアルに映し出す。激しい濡れ場に臨んだ恋人役の木下あかり(25)ら共演者にも感謝し、そして何と言ってもヤン・イクチュン。08年の「息もできない」などで知られる優れた監督でもあるが、「ボソッと“また監督やりたくなったな”と言ってくれたのがうれしかった」と話す。監督と役者として、2人の第2Rをぜひ見てみたい。
16歳で大阪から上京。青山真治監督(53)の「共喰(ぐ)い」が転機となったと語る。昨年は「火花」「帝一の國」などでも存在感を示した。2017年は紛れもなく菅田将暉の年だった。