久保王将連勝なるか 第3局も1日目から激しい展開に
2018年02月04日 05:30
芸能
「これだけ早く角をのぞくのはプロでは珍しい」と控室。香で角頭を狙われれば5三銀と交換し、香を抜き返す2枚換えで先手優勢になる。だが久保は25手目[先]8六歩(第1図)でその順を消す。「角を取られても、9筋から逆襲できるという強気な手だろう」と控室。慎重に読みを入れた豊島は穏やかな順を選び、両者ともやや珍しい「金無双」という囲いに組んだ。
久保の誘いをかわした形の豊島は、午後に入り一転仕掛ける。久保の着席前に対局が再開され、直後に38手目[後]5五歩とぶつけた。角を2筋に移し、ほぼ時間を使わず次々に歩を切る。56手目[後]4六角と切って飛車を成り込み、局面は一気に激しい展開を迎えた。
今局は体力勝負の意味合いが強い。2人は1日、大阪で大詰めのA級順位戦を戦い、6勝3敗の首位で並んだばかり。逆転負けを喫した豊島の終局は翌日午前1時近く、帰宅は3時ごろになった。
豊島には将棋ファンの間で「序盤、中盤、終盤スキがない」というキャッチコピーが定着している。2012年のテレビ棋戦の対局でこの名言を残した佐藤紳哉七段(40)は、今局の副立会人。「思いは今も変わらない。全てでパワーアップしている」と語る。
豊島と佐藤は対局場入りした2日、最寄りの那須塩原駅からタクシーに同乗した。「(前夜の敗戦で)疲れや落胆はあるはずなのに、気を張っている感じだった」と佐藤。先輩の前でという以上に、挑戦者としてのプライドを感じさせる。
過去2局と同様、1日目で早くも終盤戦に突入した。「駒損なので切れないよう攻めるしかない」と決意の豊島に「ミスが命取りになる。気を緩めないように」と慎重な久保。挑戦者の大胆な仕掛けの中に、王者はスキを見つけたのだろうか。