大杉漣さん貫いた謙虚な姿勢「演じられるだけで幸せ」 記憶に残るのは柔和な笑顔ばかり
2018年02月22日 05:30
芸能
2時間半にわたった衝撃的なエピソードの数々は全て楽しかった。こちらがお礼を言うと「大丈夫、本当に大丈夫?うまくしゃべれたかなあ」と何度も確認する気遣いに心打たれた。
北野監督の「HANA―BI」などで助演男優賞を総なめにし、バイプレーヤーとしての地位を確立したが「役者は現場に呼ばれて、演じられるだけで幸せ」という謙虚な姿勢は崩さなかった。ある大学の映画研究会が自主映画を撮る際、大杉さんにオファーが来たが「僕はプロの役者だから、ギャランティーはもらうよ」という条件で新潟のロケに参加したこともある。その時も、恐らく学生たちが金をかき集めたギャラを「これは僕からのカンパだよ」とそのまま渡すという、男気のある人でもあった。
今も現場などでお会いする度に、こちらの体調や仕事を気に掛けながら「またインタビューしてもらいたいなあ」と言ってくれた。突然の別れとなってしまったのは悔やんでも悔やみきれない。役柄上はコワモテのイメージがあるが、思い起こすのは柔和な笑顔ばかり。それがもう見られない。(元スポニチ映画担当・鈴木 元)