辻一弘氏がオスカー獲得!メーキャップ&ヘアスタイリング賞を日本人初受賞 3度目候補で悲願
2018年03月05日 10:25
芸能
辻氏は1969年、京都市生まれ。「スター・ウォーズ」を見て特殊メークに興味を持った。17歳の頃、毎週通う洋書店で開いた映画雑誌。米メークアーティスト、故ディック・スミス氏が俳優をリンカーンに仕上げた特殊メークを見て「これだ!」と将来を決めた。雑誌に書かれたスミス氏の連絡先に手紙を送り、文通を開始。「米国にもいいメークの学校はないから自分で勉強しなさい」と助言を受け、自身の顔を練習台に技術を磨いた。スミス氏がスーパーバイザーを務めた黒沢清監督のホラー映画「スウィートホーム」(89年)にスタッフで招かれ、上京。高校卒業直後のことだった。
黒澤明監督「八月の狂詩曲」(91年)などを経て、96年に渡米。ある映画でオールドマンの特殊メークを担当する予定だったが、オールドマンが降板して叶わず。後に辻氏の彫刻に感銘を受けたオールドマンは、辻氏のドキュメンタリー番組のナレーションを担当。今回もオールドマン自らが辻氏に「君がメークを担当してくれなきゃ役をやらない」とメール。熱烈オファーに、映画界を12年に去り、芸術家となった辻氏も断れなかった。
とはいえ、オールドマンとチャーチルは「似ても似つかず難題だった」。過去に多く手掛けたコメディー映画と違い、シリアスな内容。「少しでも違和感があると観客は物語に入り込めなくなる。ハードルは高かった」。約5カ月をかけて仕上げた力作は、オールドマンの素顔を忘れるほど、完璧な出来栄えとなった。