久保王将 防衛へ豊島八段誘いに乗った 今期最少38手も終盤へ
2018年03月07日 05:30
芸能
![久保王将 防衛へ豊島八段誘いに乗った 今期最少38手も終盤へ](/entertainment/news/2018/03/07/jpeg/20180306s000413F2291000p_view.jpg)
豊島の8手目[後]6二銀(第1図)に棋士らが集う控室から驚きの声が上がった。飛車の横利きを閉ざして3五まで伸ばした歩を相手に委ねた。
豊島は問うた。取りにきますか?でなければ飛車を振りますよ、と。久保は誘いに乗る。
振り飛車党が守備に使う右銀を1筋から活用した。1七、2六、3五。3手の間に豊島は攻撃態勢を整える。久保の歩得か豊島の手得か。開始30分の波乱は、ほんの前兆にすぎなかった。
久保の25手目[先]6五歩、午後も相手の読みを否定し、自らの確かさを主張するように、穏やかな表情、静かな所作で進む対局場で意地が交錯した。「(29手目)[先]6六銀が振り飛車党らしいさばき。後手は辛抱のしどころです」。解説の稲葉陽八段(29)は豊島の応接次第で終盤の入り口との見解を示した。
久保、豊島がトップ並走した、11人で名人戦挑戦権を争うA級順位戦。2日の最終局に両者敗れたことで史上初、6人によるプレーオフになった。前期成績順による1回戦が4日にあり、豊島が久保を157手で制した。日をまたぎ5日午前1時に終了した感想戦の17時間後、大阪から移動して対局場検分が行われた。
過密日程を久保は「棋士冥利(みょうり)」、豊島も「対局中、気持ちよく考えられる時間がある。それを増やすように」とストレスフリーな対局姿勢を体得。持ち時間8時間の長丁場は気力、体力も問われてくる。